GM感想
ソードワールド2.5
ソードワールド2.5ミニCP「凍える涙に償いを」
2020年12月29日から、30日、翌年2021年1月2日の3日間で行ったミニCPの感想記事です。
◆シナリオについて
今回は「ナイトメア」そして「迫害」をテーマにした滅茶苦茶重いシナリオ。発端は後述するが、『どんな展開でも許せる身内向けシナリオ』なのは間違いない。これを公募で回すほど神経は太くなかった。
舞台はラクシア大陸のウルシラ地方とザムサスカ地方の中間点に位置する、雪深い山脈。冬が本格的に到来し、蛮族や魔神以外にも、飢えた野生動物に自然の脅威が降りかかる過酷な雪山と、そこに住む人々が描かれている。
冒険者たちはギルドからのご指名で、この山間部にある寒村へと物資を輸送する依頼を引き受けており、物語は街を出て数日、雪山の中を荷馬車で移動するところから始まる。
今回の物語では、上記にあるように「ナイトメア」と「迫害」をテーマにシナリオを作っており、大きく二つの勢力がぶつかり合う地域になっている。「ナイトメア」の迫害を是とし、この地域で最大勢力を誇る『セフィリアン・ナイツ』と彼らを擁するいくつもの村たち。それに対立するのは、彼らに支配されたナイトメアの解放を謳い、各地の村を襲撃している『角の一党』と呼ばれるナイトメアの集団である。
シナリオの大まかな流れとしては、PC達はこのどちらかの勢力に加担し、もう一方の勢力と戦うシナリオになっていく。ただし、どちらの勢力も完全な善ではなく、悪でもないところが、このシナリオの厄介な部分である。
例えば、『セフィリアン・ナイツ』たちは確かにナイトメアたちへの苛烈な差別政策を取っているが、これは『角の一党』が各地の村を襲撃するためであり、防衛のため襲い掛かるナイトメアたちを完膚なきまでに叩き潰している。また平時における民衆の暴発を防ぐため、あえて差別階層を創り、不満や怒りの受け皿を用意し、村の団結度を高めるシステムとして運用していたりする。このほかにも、食糧難となったとき、罪悪感を軽減するため、斬り捨てやすい層としてナイトメアとそれを産み落とした家族を差別階層へと落としている。そのため、村の人々からの信頼は厚い。
また、『角の一党』は各村で差別階層となっているナイトメアや、その家族たちを解放するため抵抗戦線を展開しているが、実際は「解放」とは名ばかりで「復讐」の為に戦闘を起こしている節がある。また、彼らはその戦力を維持するため、定期的に村や行商などを襲い、略奪行為を行っているため、「解放軍」とは名ばかりの山賊とみることもできる。冒険者ギルドにも暗いつながりを持っていたりなど、かなりブラックな面ももつ。解放戦線などきれいごとではできぬのだ。
……とまぁ、こんな感じにだいぶ拗れた地域が、今回の物語の舞台であり、バックボーンとなっている。今回のセッションでは、PC達は最終的に(そして時間の都合上)『セフィリアン・ナイツ』と敵対し、その首領を打ち取るのだが、これによってまた新しい復讐の芽が産み落とされる、救いのないENDへと進むこととなった。
◆参加者
今回のいけに……参加者の方々はこちらの人たち。
◆PC:アストレア・ブランシェ/PL:はやみさん
過去に父親と母親を、ナイトメアを迫害する過激なテロ集団『セフィリアン・ナイツ』によって殺された、闇を背負うナイトメアの少女。兄と共に生き残ったものの、セフィリアン・ナイツへの復讐を誓い、各地を転々としている。今回の物語において重要なポジションを占める。なお愛称(略称)はアリア。
雪のような白い肌と髪が特徴的で、どこか儚げなその表情や佇まいとは打って変わって、両手剣による強力な一撃で敵を撫で切りにする近接ファイター。感情乏しく見えるが、内面には激烈なものを抱えている。同じくナイトメアのエルブレムとは聖アシュリト学園という名の学園で生徒と教師の関係でもある。
今回の物語ではそのセフィリアン・ナイツが登場することでかなり重要な役どころであり、全面的に対立する。GMとしてはスタンスが非常にわかりやすかったため、いくつもネタ仕込みができたかな?
クール少女の激怒する姿は愛おしい。
◆PC:エルブレム・アシュリト/PL:じゃっくさん
ナイトメア二人目。アリアが多感なティーンであれば、こちらは老成したおじさんで年齢は129才。おじさんというかおじいさん。これまでの経験から、アリアがこれから直面するような出来事にいくつも対面し、そして乗り越え、過去のものにしてきた人。
立ち絵はめちゃクソイケメンなおっさんで、弱きものを助け、導くプリーストにして動物大好きおじさんライダー。また、同種族のよしみかナイトメアにも甘い。そのため、アリアとは生徒と教師の関係でありながらも、何かと世話を見ているようだ。因みに聖アシュリト学園の学園長補佐を担当している。大物。
今回の物語では、立場上PT全体を引っ張る役割を担うことが多かった。特にアリアが内向的性格であり、「エルブレムの指示に従う」という立ち位置を取っていたため、外交的役割をほぼほぼ担うことになっていた苦労人。教育者として、物語に登場するナイトメアの少年と関わるのだが……
◆PC:ダリナ・バーンベリー/PL:ベーゼンさん
親をナイトメアに殺された人間の女性。おいおい、このPT1/2がナイトメアなんだが? 因みにその因縁のナイトメアというのが上記エルブレムだったりする。とんでもない爆弾を抱えたPTが秒速で樹立された瞬間だった。エルブレムが彼女の両親を殺したというのも、バーンベリー一族は野盗の一派であり、盗みや殺人を犯していたそうな。結果として冒険者にその討滅が依頼され、両親は討伐、当時子どもだったダリナは見逃されたとのこと。
ナイトメアに対して敵意というか、もはや殺意を隠さないデーモンルーラー。私はSW2.5になってから初めてデモルラメインのキャラを見たが、結構強かった(なお凄まじいMPの消費だった)
物語においては、アリア・エルブレムの二人がナイトメアであるため、反対にナイトメアを嫌悪するキャラクターとして、最も大きな対立柱となった。道中、ナイトメアの少年と出会ったのだが、割と真剣に殺意を向けていたのがgood!
◆PC:ホープ・コーラル/PL:たけしんさん
この物語における一番の被害者。本当にごめんよ。
もともとどこにでもいる普通の村娘だった彼女だが、ある日蛮族に襲われ村は壊滅。両親や友人など一切合切を失ってしまう。しかし、その時現れた冒険者たちに救われ、「人を助ける」彼らの生き方を、彼女自身の生き方の指針にしたようだ。以来、ホープは笑顔で人々を助ける冒険者となった。
……のだが、まれに過去の光景を思い出してすすり泣くことがあるらしい。普段の元気な彼女は空元気なのか、そもそもその記憶を放棄したのか、押し込めているだけなのか。それは分からない。辛い。
2Hのヘビーアックスを振り回す元気なファイター。一撃が重いのは当然なのだが、寄りにもよって全力攻撃Ⅱの時に回ったりする。一番回してはいけない人が回してしまった。
物語においては、彼女の性格故に「人を助ける」のを前提にうごいてくれた。そのため、ナイトメアであろうがなかろうが、皆が笑顔になれる道を真剣に探してくれていた。一番の不運は、このシナリオを書き、そして回したGMが悪意に満ちていたことだろう。
◆感想
シナリオライター兼GMとして、実際にやってみると随分とひどい話だなぁと思った(問題発言) 二つの箱が用意されており、どちらを開けても絶望しか入ってないのだからそりゃそうである。
今回は、PC達に触れあい影響を与えていく存在として、二人のNPCが存在している。真っ白な人間の少女と、真っ黒なナイトメアの少年だ。人間の少女は、道中PC達に助けられるのだが、記憶を失っており、PC達と共に行動していくことで、様々な価値観や考え方をPC達から学んでいくこととなる。しかし、とあるイベントを発生させることで、この少女は元の記憶を取り戻し、「ナイトメア」をナチュラルに憎む存在へと変貌してしまう。そして、この少女の父親が『セフィリアン・ナイツ』の隊長(シナリオボス)であることが発覚するため、『セフィリアン・ナイツ』と敵対した場合、PC達はこの少女の父親を殺害することとなってしまう。
一方、真っ黒なナイトメアの少年は、『セフィリアン・ナイツ』たちに生まれたときから捕らえられ、奴隷として生かされてきた凄惨な過去を持っている。そのため、人間(ナイトメア以外)に対して強い憎しみを抱いているのだ。しかし、PC達と出会い、衝突しながらも、冒険者の存在を通して世界を見ることで、徐々に憎しみ以外の感情を取り戻す存在へと変わっていく。ただ、この子は『角の一党』に保護されたナイトメアであるため、『角の一党』と敵対した場合、彼にとって家族にあたる存在を再び奪うこととなる。
この二人のNPCがPC達に近づき、仲良くしてくる(そしてこれらの設定は、仲良くなった後のセッション後半に展開される)ため、冒険者たちは苦しい選択をせまられることとなった。いや苦しかったのかな? 苦しかったということにしておこう。
初めから『セフィリアン・ナイツ』に対して因縁を持つアリア・エルブレムの二人はともかくとして、ホープとダリナについては、物語との接点が少なく動機を得にくいのもあまりよくない点だと思ったりもした。ダリナについては、ナイトメア嫌いということも相まって『角の一党』とは仲良くできなかったし(中盤ごろのナイトメアの少年への当たりが強すぎて笑っていた)ホープに関しては、皆仲良くどころか皆殺しみたいな世界へと放り込まれたため、相当心を痛めたのではないだろうか。
また、ソードワールドのシナリオにしてはかなり後味の悪いENDを迎えたこともあり、それぞれのキャラクターの心に、かなり大きな傷跡を残したのではないかとも思う。
アリアは“復讐者”として『セフィリアン・ナイツ』の隊長を殺したことで、その娘である真っ白な少女が、自身と同じ“復讐者”へと変貌し、物語の最後ではすべてのPC達に激しい怒りと憎しみの言葉をぶつけてくる存在へと変わってしまった。一体何を救えて、何を変えれたのか。一つ復讐を成し遂げれば、新たに一つ復讐が生まれる。復讐の連鎖が続いてしまったのは、ある意味このシナリオの目指していたところではあるのだが、最悪の形でそれが実現することとなった。
エルブレムもまた“庇護者”として、救えるものを救い、導く神官として立ち振る舞ったわけだが、冒険者たちの介入によって一つの復讐が終わり、そして新たな復讐が生まれる結果となってしまった。真っ白な少女は復讐に燃える少女へと変わり、救うどころか闇へと追い落としてしまう結果となったわけだ。長い年月を渡り歩いてきた彼でさえ、この出来事は胸に残り続けるのではないだろうか?
ダリナはある意味では、この物語が終わる時誰よりもニュートラルに現状を受け入れているように見えた。ナイトメアに対する憎しみや嫌悪感はまだ燻ってはいるだろうが、それは物語が始まった時ほどではない。ある意味、この物語で一番大きく変わった人物に思える。ただ、変わった先で彼女が何を見て、何を想うのかは計り知れないが。
ホープはこの物語の最大の被害者だっただろう。真っ白な少女からは憎しみと怒りの言葉を吐かれ、物語は破滅的なENDを迎えてしまったからだ。彼女のこれまでの人生観を根底から破壊しかねない出来事に、彼女の心がどう移ろいで行くのか心配である。ただ一つ救いがあるとすれば、真っ黒なナイトメアの少年は、少なからずホープの存在に救われていることだ。彼女の存在なしに、彼が立ち直ることはあり得なかった。
総括として、この「凍える涙に償いを」は、ひどく重苦しく、そして救いのないENDを迎えてしまった。GMの想定の一つというと非常に悪意が高いのが伺える。一人の少女が復讐に身をやつし、多くの人々が命を落とした。よくある大団円で終わる物語とは異なり、灰色の空がどこまでも続くような、苦々しく後味の悪い物語。少女の流した涙は凍え、今もまだ解けることはない。
きっと、いつかその償いをしたときに、彼女の凍える涙は解けるのだろう。
◆とたけのこぼれ話
ここからは感想記事とは全く関係ない、こぼれ話である。
このシナリオができた流れや、細かな設定についてちょろっと書いていく。
◆このミニCPの発端
2020年12月中旬。TwitterとDiscordにて、PLのはやみさんから「ナイトメアとか迫害する卓やりたくなぁい?」という悪魔じみたお誘いを受けたのが発端である。
で、一も二もなく引き受けて、このシナリオが生まれた。
◆コンセプトについて
上記感想記事にも、このシナリオのコンセプトについて書いてあるが「ナイトメア」と「迫害」がテーマになっている。が、実はそれ以外に「迷い」と「喪失」というものをこっそりとシナリオに練りこんでいた。
「ナイトメア」「迫害」については、シナリオのバックボーンに練りこみ。「迷い」「喪失」はPC達の選択に応じて発生するようにしている。
「迷い」の部分は、『セフィリアン・ナイツ』に加勢するか、『角の一党』に加勢するか、両方に対して喧嘩を売るか、それとも何もせずに去るかの選択で。
「喪失」に関しては、上記のどのルートを通ったかによって、NPCと敵対、または死亡することで、なにか大切なものを失わさせるような悪意に満ちたシナリオにしようとしていたのだった。酷い話である。
◆シナリオタイトルについて
毎回クソ悩む部分。今回も例にもれず悩み散らした。
「凍える涙に償いを」は、最後のシーンで静かに涙する誰かを想像している。シナリオ終了時に、これまでの罪の償いとして「凍えるような涙を流している」のか、誰かの償いによって「凍える涙を融かす」物語になるのか。そういう期待が込められていた。
◆シナリオのEND分岐について
あまり明確にシナリオのEND分岐というものや、ハッピーエンド、バッドエンドというものは想定していないのだが、どのような行動をとったかで、シナリオの最後の描写は変わるようになっている。
冒険者たちが『セフィリアン・ナイツ』に加勢し、『角の一党』を滅ぼした場合、真っ黒なナイトメアの少年は、再び人間への憎しみと怒りを思い出し、真っ白な少女を殺害しようとする。その後、冒険者が彼を殺害するか、そうでなくても『セフィリアン・ナイツ』によって少年は殺害される描写がエンディングで発生し、シナリオエンドとなる。
冒険者たちが『角の一党』に加勢し、『セフィリアン・ナイツ』を滅ぼした場合、真っ白な少女は信頼していた冒険者たちの手によって、自らの父親を殺されることとなる。ナイトメアへの憎しみと怒りに駆られた少女は“復讐者”として、真っ黒なナイトメアの少年を殺害しようとし、冒険者たちと決別する。その後は、『角の一党』によって捕まり奴隷となり、エンディングでは彼女は死亡したことが伝えられる。
冒険者がどちらにも加担せず、両方の陣営を滅ぼした場合、『セフィリアン・ナイツ』たちが守護してきたこの地域の村々は蛮族や魔神に対し無防備になり、最終的に全滅してしまう。『角の一党』も同じく、冒険者たちの手によって壊滅する。真っ白な少女と、真っ黒なナイトメアの少年は、自らの大切なものを失い、無差別に力を振るった冒険者たちに“復讐心”を抱く。エンディングでは、二人の少年少女は行方をくらませたことが伝えられる。
冒険者がどちらにも加担せず、この地域を離れた場合。エンディングで冒険者ギルドに戻ってから数週間後、村のあった地域で大規模な戦闘があったことが伝えられ、その双方が全滅したことが伝えられる。冒険者たちは最期にその地へ立ち寄った冒険者であるため、死亡者のリストを確認してほしいと伝えられる。確認すれば、その中には真っ白な少女と、真っ黒なナイトメアの少年の名前が書かれており、死亡したことが確認され、シナリオENDとなる。
……え、救いなくね? そのとおり、今回のシナリオは既定の路線では全くと言っていいほど救いがない。とてもひどい話である。シナリオで扱ってる内容(ナイトメア差別)も合わせて、公募や野良では絶対に回せないシナリオとなっているため、おそらく二度と回すことはないだろう。
ただし、これはシナリオライター兼GMが想定しているENDであり、PC達冒険者がこれ以外のENDを作るのは可能である。完全なトゥルーエンドの一つとしては、冒険者たちが全く別の第三勢力となり、『セフィリアン・ナイツ』『角の一党』を撲滅。その後、この地域の支配権を完全に握る展開である。当然、滅茶苦茶難しいうえ、一介の冒険者でやすやすとできることではない。復讐の連鎖を断ち切りたければ、自らへの憎しみを恐れることなく、剛力と圧倒的な支配力ですべてを奪い取るしかないのかもしれない。他にも、大規模な戦いが始まる前に、子ども二人だけ拉致し逃げるといった展開や、真っ白な少女の記憶を復活させない(少女の記憶はとあるイベントによって回復するため)ことで、偽りの記憶を持たせ続けるなどの荒業も一応存在する(父親を殺したあとで、記憶を回復させたら鬼だよねという話で盛り上がっていた。酷い話である)
こういうシナリオは、身内の中だけでやろうね。GMとのお約束である。
◆NPCについて
このミニCPには4人のNPCが登場し、そのうち二人は特にPC達に深く関わるキャラクターとなっている。簡単に紹介しておこう。
・真っ白な少女/ブラン・リーザン
人間の少女で、年齢は6~7歳ぐらい。
シナリオにおける役割は「セフィリアン・ナイツ」側の友好的キャラクターにして、「白から黒への変貌」。
『セフィリアン・ナイツ』の隊長を父に持ち、物語の舞台となる地域で最も大きな村の長の娘となる。マジのお嬢様。母親は、彼女が5歳の頃に『角の一党』のナイトメアたちに襲われ死亡している。故に彼女は、ナイトメアを蛮族同様の「敵」として認識している。
物語では、『角の一党』に襲われ手傷を負わされ、冬の雪山に瀕死の状態で放置されていたところを、冒険者に救われる形で接触させている。この時、彼女は記憶を失っており、名前も『真っ白な少女』としていた。これは、PC達が彼女に名前を付け、愛着を持たせるように仕向けているため。また、この時の少女は文字通り「真っ白な」少女で、ナイトメアに対する悪感情などはない。白雪のように美しく、穢れのない存在として冒険者に接してくれる。
物語中盤で手に入る『銀のロケット』を渡すことで、彼女は完全に記憶を取り戻し、もとの「ブラン・リーザン」として行動できるようになるが、『真っ白な少女』で会った時の記憶も保持しているため、記憶を取り戻した直後は、ナイトメアに対する感情は半々となっている。今回のセッションでは、PC達は「真っ白な少女」に「シロ」という名前を付けていたため、半々のときの少女の名前は『シロ/ブラン』という表記に意図的にしていた。ここで冒険者たちがナイトメアに対して融和的な態度を取ったり、彼女に対して親身に接することで『シロ』へと意識が移行する。逆にナイトメアに対して差別的であったり、彼女の父親を殺害した場合などは『ブラン』へと意識が移行する仕組みにしている。今回のセッションでは、最後彼女の父親を殺害した後、彼女をシロと呼ぶと激怒し、「私はブラン・リーザンよ!」と吐き捨てる台詞があった。この時から、彼女の名前の表記は『ブラン』である。
役割にある「白から黒への変貌」というのは、最初冒険者と出会った時は真っ白な少女だったのが、記憶を取り戻すことで憎しみの感情を抱く少女へと変転することをさしている。ただし、この変転後の対応次第で、再び「真っ白な少女」へ戻すことも可能だった。もっとも、シナリオ展開とPCたちの因縁からかなり難しい選択だったが。
なお、『ブラン』はフランス語「blanc」から『白』の意味。『シロ』と『ブラン』、どちらも意味は同じである(なおフランス語blancは男性形じゃね?というツッコミはなしでお願いしたい。女性形はblanche)
・真っ黒な少年/クロ
ナイトメアの少年で、5~6才ぐらい。実はブランちゃんより1,2こ年下。
シナリオでの役割は『角の一党』側の友好的キャラクターにして、「黒から白への変貌」。
もともとは、「リーザン」の村に生まれた子どもであったが、ナイトメアであったことから奴隷階級へと落とされる。出産時に母は死に、父親も奴隷階級に落とされたのちに死亡している。極めて過酷な奴隷生活を送り、一時は死に瀕するも運よく『角の一党』に保護され、今に至る。そのため、「ナイトメア」以外の種族に対して極めて敵対的感情をもつキャラクターで、序盤PC達に出会った時も殺そうとして襲い掛かる。友好的キャラクターとは。
中盤以降、クロと接触することが可能になった時、PC達が積極的に接することで徐々に態度を軟化させていく。そして、途中の戦闘イベントで助けてあげることで、PC達は彼の信頼を勝ち取り、以後、彼はナイトメア以外にも心を開くようになる。今回のセッションでは、ダリナと非常に相性が悪く、割と真面目に敵対しそうだったが、エルブレムのフォローと、なによりホープの絡み、そしてダリナ自身、クロを助けるという行為によって徐々にではあるが、PC達に興味を抱いていった。
実はシナリオ作成当初、ブランとクロを姉弟にする案があった。権力者が産み落とした子にナイトメアがあったので、追放した。という展開だ。二人は冒険者というイレギュラーな存在によって再び出会い、恋におちる、しかし最後父から真実が語られ……とかいろいろ考えていたのだが、NPCに話が寄りすぎるので没案とした。というか、この案でいくと『セフィリアン・ナイツ』が一方的に悪になりすぎるので、やっぱり採用されないだろう。でもいつかやりたい。
あと、名前からお察しの通り、「真っ白な少女/ブラン」と「真っ黒な少年/クロ」は明確に対比を意識して作られたキャラクターである。ブランが記憶を取り戻すことで憎悪や悪意をよみがえらせるのとは逆に、憎悪や悪意を抱いていた少年クロが、PC達との交流でそれ以外の感情を取り戻していくと、全く逆のことを行っていたりする。
物語の結末では、善の方向へとよった方のキャラクターが悪の方へと堕ちたキャラクターをかばうものの、刺されてしまう。という展開が存在するため、このようなギミックを入れていた。今回のセッションで行くと、悪から善へと変転したクロは、父親を殺され完全に悪へと堕ちたブランを、冒険者から守るために立ちふさがるのだが、その際ブランに刺されてしまった。
因みに、地味に立ち絵差分が多い。通常、怒り、悲しみ、喜び、驚き、恐怖、激怒、絶望と8差分用意していたが、基本怒っているキャラクターだったので、大体怒りの立ち絵差分しか使わなかった。残念。
◆戦闘難易度について
今回は「易しい~普通」ぐらいの難易度で行った。具体的には、敵のLvMAXは冒険者レベルMAX(最終話でLv9)+2(CPのラスボスのみLv+3)を上限とした敵編成で、最終決戦以外にマジックユーザーを出さないなど、微妙な調整を行っている。
ところどころギミックありのバトルを仕込んではいるものの、基本的には冒険者側有利か、すぐに看破できるような仕掛けにしてあるつもり。ただし、地形効果の「積雪(接地状態であればすべての行動判定に-2のペナルティ修正)はやりすぎだったかもしれない。まぁPCみんな空飛ぶんで関係ないんですけどね。
最終決戦のみ、割と高レベルのマジックユーザーを出している。特に森羅魔法を覚えた導師(Lv11)や『角の一党』と敵対した場合のCPボスとして登場するエネミーは、招異魔法Lv12までを使う予定だった。ただ、導師に関しては「シンボリックロア」は封印し、それ以外のバフデバフを撒く存在として活躍。招異魔法を使う魔神遣いは、基本的には「アストラルバーン」を使う予定でいた(もしかしたら近づいて「デモンズドッジ」や「デモンズブレード」で戦う魔法戦士になっていたかもしれないが、これをやると滅茶苦茶強くなりすぎる可能性がある)
ある程度簡単な方が、ビルド幅に遊びができて面白い。もし全員のビルドの強さが合わせられるなら、遊び幅を大きくできる、簡単な戦闘難易度で遊ぶと面白いかもしれないと思った。
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