冒険者になる編
1 冒険者試験
蓮は王宮を出たあと、町の宿で自身がもつ所持金を見ながら一人悩んでいた。
「さすがに足りないか・・・・・・」
これから賢者のところまで向かうのだが、ここからだと自力でたどり着かないといけない。しかし歩きだけではさすがに時間がかかりすぎるので、馬車を使いたいのだが蓮の持つ所持金が心もとなくなっていた。
「しかし金を稼ぐと言っても何がするかだよな。どこかで働くとしたらさすがに時間がかかりすぎるしな。うーん・・・・・・」
蓮は何か金を稼ぐ方法がないか考えていると、一つある仕事を思い出す。
「そうだ。冒険者だったらどうだ?あれなら金を稼ぎながら動けそうだな」
冒険者は依頼主からやってきた依頼をこなして報酬を受けていく仕事だ。冒険者には冒険者ギルドが色々な町に点在し、冒険者登録をいていればどこのギルドでも依頼を受ける事が出来る。
「冒険者なら都合が良さそうだし。やってみても良いかもな。迷うよりも先に行動だな。さっそく行ってみるか」
蓮はすぐに部屋を出て、冒険者ギルドへと向かう。
「ここが冒険者ギルドだな。久しぶり来たな」
冒険者ギルドの前には多くの冒険者と思われる者たちがギルドの建物の中に出入りしている。蓮も周りの冒険者の波に乗ってギルドの中に入って行く。
ギルドの中に入るとギルドの中にも多くの冒険者たちが依頼を受けていたり、建物内に備え付けされている酒場で談笑しあっている。
蓮は周りのギルドの様子を見ながら、受付の方に進んで行く。
「こんにちは。本日はどのようなご用件ですか?」
「実は冒険者登録をしたいんですけど」
「冒険者登録ですね!分かりました。ではこちらの書類に記載をお願いします。読み書きは出来ますか?」
「はい、出来ます」
受付嬢は蓮の前に登録時に個人情報を記載する紙を渡してくるので、蓮は紙に書き進めていく。
「終わりました」
書き終えた紙を受付嬢に返す。受付嬢は記載された内容を確認していく。
「はい。すべて書いていただきますね。では登録をしてきますのでギルド内で少々お待ち下さい。完了しましたらお呼びしますので」
「お願いします」
蓮は一度受付から離れてギルド内で名前が呼ばれるまで待つ間に少しギルド内の中を見て回っていく。
最初に見ていたのはギルドに貼ってある依頼を眺める。
(結構いろんな依頼があるんだな。迷子のペット探しから魔物退治まで。へえー、浮気現場の捜索なんて依頼もあるのか)
蓮は予想以上に色々な種類の依頼があるので驚いている。そうして依頼を眺めるていると受付の方から蓮の名前が呼ばれる。
「レンさーん。こちらにどうぞ」
蓮は受付嬢の声に気づいて受付の方に戻る。
「ではさきほど書いていただいた情報について登録させていただきました。それでは正式に冒険者登録をさせていただくまえに一つテストをさせていただきます」
「テスト?」
「はい。冒険者登録する前には最低限の実力があるのかのテストを行うのですが、レンさんはさきほどの用紙に戦闘職の欄で希望されていましたので、魔物討伐依頼をしていただきます。テストの魔物はスライム10体を倒していただきます」
「10体ですか」
「どうですか?ここで棄権を申し出る事も出来ます。ですが、それだと残念ですが冒険者登録は完了しません。やられますか?」
受付嬢は聞いてくるが、スライムは攻撃的な性格も持つが、体がジェル状の体でもあるので攻撃されてもダメージは全く無い。しかしスライムは格を壊さないと倒れないので少し面倒な所はあるが、蓮にとっては何の問題も無いモンスターだ。
「はい。やります」
「分かりました。ではスライムを倒したら出てくる魔力結晶を10個持って帰ってきて下さい。それが成功されたら合格です。言っておきますがくれぐれも不正などはしないようにお願いします」
「はい」
「では期限は今日中までです。遅れてしまったらそれで強制的に失格ですのでそこは覚えておいて下さい。他に何か気になることはありますか?」
「いいえ、大丈夫です」
「では行ってらっしゃい。合格できる事を祈っていますよ」
「ありがとうございます」
そして蓮はギルドを後にして、町の外の平原に向かう。この町の平原にはスライムが多く生息している。
「さて、さっさと終わらせるか!」
今、蓮の片手には短剣が握られている。スライム程度なら魔力闘法でも余裕に倒せる事は倒せるのだがスライムのあのジェル状の体のせいで打撃には耐性が高いということで短剣を使う事にした。
「お。いるないるな」
辺りを見渡して探してみると周りにはスライムの姿が簡単に見つける事が出来る。スライムは平原をゆっくりと動いている。
「はっ!」
蓮は見つけたスライムを次々と倒していく。短剣の一撃でスライムは簡単に倒れていき、絶命時に出てくる魔力結晶を蓮は順調に集めていく。
「あと三つだな。意外とすぐに見つけられたからすぐに終わりそうだな」
蓮は平原を歩いて、他にもスライムがいないのか探していき、見つけたらすぐにスライムを倒していく。そしてちょうど10匹目のスライムを倒し終わったときであった。蓮の視界にある物が映る。
「これで終わりだな。ん?なんだ、あれ?」
見つけた何かに近づいていき、蓮が拾ってみるとそこにあったのは鞘に入った短剣であった。
「こんな所に短剣?誰かの落とし物か?」
蓮は鞘から短剣を抜くと、鞘から抜いた瞬間にただの物とは思えない異様な雰囲気を蓮は感じとる。
「これは魔法剣か……」
魔法剣は魔力が込められており、ただの剣とは違って特異な力を持っている。魔法剣の中にも秘めている力に差はあるが、最上の物となれば国を動かせるかも知れない武器もある。
当然、蓮たちの武器も最上の類いに含まれる。
「悪くないな。まあ、俺たちの武器には及ばないけどな」
蓮は目の前の魔法剣を眺めながらそう呟いて、自分の懐に入れておく。
「とにかく置いているのもなんだしな。持って帰ってギルドで聞いてみるか」
そしてスライムを10匹を倒し終わった蓮は町の方に戻っていく。これで無事テストは終了した。
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