3 武器がマジでない…

蓮の目の前に広がる荷物の中には蓮の魔導書を含め、みんなからもらった武器が一つも無かった。


「ない!武器が一つも!もしかして埋まっているのか?」


蓮はもう一度瓦礫を避けて武器を探そうとしたときだ。地竜が蓮に向かって突進してくる。


「あぶなっ!」


蓮は咄嗟に後ろに退いて地竜の突進を避ける。突進で荷物が飛ばされてあたりに散らばる。


「武器の前にまずはこいつをどうにかしないといけないな。探すのはそれからだ」


地竜は走りながらこちらに向きなおって突進してくる。蓮は地竜をギリギリまで引きつける。


「今だ!」


蓮は少し横に移動して、地竜の腹に向かって自身の魔力を込めた一発をたたき込んだ。その一撃でキラーボアは真横に転がっていき、そのまま倒れていた。


「……倒したか。幼体で助かったな。さすがに成体だと勝てなかったな」


蓮の本職は魔法使いだが一応魔法以外にも戦える方法は身につけている。それが蓮が今使ったのは魔力闘法というものだ。自身の魔力の流れを速めることで身体能力を強化する魔法だ。これはメインが魔法の蓮でもある程度の近接戦は出来るのでかなり重宝している。


「次はこっちか……」


蓮は地面に散らばっている荷物を見る。


「とにかく最初から探していくしかないか」


蓮はもう一度、荷物を一つ一つ拾いながら探していく。


「やっぱりない……」


あれから全部一つ一つ確認しながら探してみたがやっぱり蓮たちの武器は見つからない。


「確かこのまえ、洞窟に行ったときにはあったのは覚えてる。それなら考えられるのは洞窟からの今日までの二週間の間だよな。えー・・・どこで落としたんだ?うーん・・・」


蓮はこの二週間の思い出を必死にさかのぼる。


「洞窟を出てからずっと馬車に乗っていて、その時はこのカバンは開いていない。それで馬車に乗った後は、えっと・・・そうだ!途中で賢者のじいさんにあったから賢者のじいさんに転移魔法で送ってもらったんだよな。たしか、転移魔法のトンネルの中で一回揺れ掛けたんだよな……」


ここで蓮は思う。


「もしかしてその時に落としたのか?」


そう思っていたら蓮の脳裏にあの時に何か光る物が落ちていたものだと思い始めてくる。


「そういえば落ちてきた気もしてきたな。それにあのトンネルを渡ってからここまでカバンを一度も開けてないから隙間から落ちることはないし、絶対にあのトンネルで落としたな・・・。」


蓮はせっかく神からもらった最強の武器を落としてしまったという事実に蓮は頭を抱えてその場にしゃがみ込む。


「マジでどうしよう……」


蓮はこの現実を受け入れるしかなかった。


「と、とにかくこれから武器を無くしたのは事実なんだ。どうにかしないと。まず話を聞きに行くとしたら賢者のじいさんだよな。もしかした賢者のじいさんが持っているかも知れない。そうだとしたらここからだと結構な距離があるよな」


ここから蓮が言う賢者がいる距離までは馬車でも三ヶ月以上はかかる距離がある。


「だけど行くしかないよな・・・。ま、まずは王国に帰るか・・・」


蓮はゆっくりと花畑を後にして、王国に帰っていった。

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