『謝罪と反省』
俺と可憐は鈴原先輩と駅前で待ち合わせをしていた。
少し遅めの朝食を取った可憐の行動は正解だったと言えるだろう。
時間的には少し早いがほぼ予定通りに来れた。
「完璧ね...」
偶然だったのだろう、隣で少し嬉し気味にそう呟いていた。
「そうだな...」
朝食は結局俺も可憐もサンドイッチを頬張っていた。
可憐の食べている姿が少し可愛かったのは本人には言うつもりはないが...。
そんなことを考えているとアニメや漫画でよく見たリムジンが目の前に止まった。
「おはようございます。愁くん、可憐さん」
可憐は少し困惑気味に鈴原先輩を見ていた。
そりゃそうだろう、前まではいじめを受けていたらしいからな、と言っても今は改心してくれているらしいから俺が口を出すことは何もなさそうだと思う。
「まず最初に、可憐さん今までの行動のことです。本当に申し訳ございませんでした」
そう言って鈴原先輩は綺麗にお辞儀をしていた、家柄からして小さい頃から教えられていたのだろうか、その姿は様になっていた。
「もういいです。決して許すという訳では無いですが、済んだことを反省しているのならそれだけで十分です」
「そうですか...」
少し落ち込んでいるような感じがした。
彼女なりに反省しているのだろうか、まぁ俺は事情を少し知っているくらいなので何も分からない。
「それではお乗り下さい」
執事のおじいさんが俺と可憐に向かってそう言ってきた。
「「は?」」
俺と可憐の言葉が重なってしまった。
「愁くん、可憐さん、どうしたんですか?」
「てっきりもう帰る雰囲気かと...」
「せっかくの休日ですし、私の家にご招待しようかと、実言うと同じ学校の人を家に招くのは初めてなの...」
何故か嬉しそうにしている鈴原先輩を見ていたら俺と可憐はリムジンに乗っていた。
◇
「緊張しないの?」
「いや、ガチで緊張してる」
小声でコソコソと俺たちは話をしていた。
何せ、曰く一人暮らしでたまに使用人が出入りしているらしい。
食事も専属のシェフがいるとかいないとか...。
そんな情報を教えられたら余計に緊張してしまう。
その姿を見て笑っている鈴原先輩はSっ気が高いのだろう。
「そう緊張しなくても大丈夫よ?家にお爺様がいるわけじゃないから」
そう一言だけ言って俺たちを安心させようとしてくれていた。
実際俺も可憐も友達と呼べる人が少ない。
俺なんか佐々木と幼馴染の真理亜くらいしか行ったことがない。
なので余計に緊張する。
リムジンも乗ったことは初めてだったが喋らないで黙っていると空気が凍る。
少し不安になりながら鈴原先輩のお家に向かっていた。
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