『呼び出し』
翌日、遅刻ギリギリに学校へ行った。
今日は二度寝をしようとした訳ではなく、佐々木の為にノートに色々とまとめていた。
元々赤点スレスレだが重要な点くらいならまとめれる。
それを深夜帯までしているといつの間にかこんな時間になっていた。
「はぁ、面倒だな」
佐々木の意気込みを見たらわかるが今回は本気で頑張っているらしい。
友達として、事情を知ってる身として応援してやりたいと思う。
気持ちが熱くなって俺もテスト勉強を頑張ってしまった。
「よぉ!愁、今日はいつにも増して眠そうだな?」
「あぁ、テスト勉強してたからな。はい、これ」
「なんだこれ?」
「俺が思う重要なところを各教科でざっとまとめておいた。と言っても赤点は取らない程度だろうが...」
そう言っている途中で「ありがとうな!」と喜んでいた。
「これでとりあえずはいいか」
もうテスト勉強はしたくないと思うくらいまとめた気がする。
これでダメだったら天音さんにでも頼ろう。
◇
「ちょっと神山ってやついるかしら?」
見たこともない人、名札の色的に二年生だろうか?
石川と書いてある、俺には見覚えもない人だった。
「ちょっと来てくれるかしら?」
「用事があるならここで済ましてくれると嬉しいのですが...」
場所を移動するのは面倒なのでさっさとこの場で済ましてしまいたいと思った。
「貴方、四乃宮可憐って女と仲良いらしいね」
「?一応そうですね」
突然そんなことを言い出すので何が言いたいのか分からなかった。
可憐のことを俺に聞きに来るというのは謎だった。
「私の自己紹介がまだだったわね、私は石川忍、一応四乃宮可憐の部活の先輩よ。と言っても辞めちゃったけどね」
そこから石川先輩が言うには可憐は部活でいじめにあっていてそれが原因でサボりだし最近になって部活を辞めたらしい。
それを納得していない部長、いじめてた張本人がキレだしたらしい。
それで呼び出しを昨日して可憐を連れて来いと頼まれたが結局連れて来れなくて次は仲が良いと噂されている俺を連れて来いと言い出したらしい。
「それで来てくれない?」
「・・・」
正直面倒事に巻き込まれているが可憐のことなら関わっても仕方ないと思える。
「わかりました」
そう言うと石川先輩も、少し安心した顔をしていた。
無理矢理連れていこうとしないあたり本当は良い人なのだろう、こうして事情も話してくれている。
◇
放課後になり、俺は石川先輩に連れられ部長鈴原奏さんのところに行くことになった。
「初めまして、貴方が神山愁?思った以上にイケメンなのね...」
俺の顔を見た鈴原先輩はそう言って微笑んだ。
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