『日常』
次の日、いつも通りにすごしているとSHR(ショートホームルーム)で期末テストがあることが教えられた。
「分かったか!お前ら、一週間後のテストに向けてこういう時だけでも勉学に励めよ!特に愁、お前は授業中寝過ぎだ、他教科の先生方からも苦情がきてるぞ!」
俺の事を名指しで言われてしまった。
最近は寝る頻度も下がってきていて授業中もある程度はノートに取るようになった。
と言っても寝るには寝てしまうので佐々木を使いカバーをしていたと思っていたが案の定バレてたらしい。
俺に呆れてきているのか直接注意することはなくゴリラ...先生に毎回報告をしているらしい。
担任であるゴリラは体育系の担当なので夏以外は基本熱くならないがテストや行事ごとになるとすぐ熱くなる。
別にそれがいやという訳ではないが熱苦しいとはやはり思ってしまう。
「そういえば愁、お前テストの方はどうなんだよ?」
「まぁ赤点は免れる程度には勉強するから大丈夫だ」
「まぁお前のことだしそう言うと思ったわ」
俺はと言うと数学以外があまり得意ではない、英語なんか結構酷い有様になっている。
「赤点回避しとけば補習もないしな...」
そう、俺みたいに寝てるやつは大体赤点で補習組になるのだが今のところ一度も補習組になったことがないのが少し自慢だった。
「寝てるのに内容よく覚えてるな...」
「まぁ教科書見てその分少しは勉強してるからな」
と言ってもテスト中に解いたら確認せずに眠ってしまう。
「愁のテスト勉強ってどんな感じなんだ?」
突然佐々木が俺にそう言ってきた。
「ん?俺のテスト勉強は課題の復習だけだな」
先生からよく配られる課題がある、それを復習するだけで俺のテスト勉強は終わりだった。
「それだけか?」
目を丸くした佐々木が俺にそう言ってきた。
「そうだけど?俺が嘘つく必要ないだろ...」
「俺も今日から課題復習するわ...」
「今回は張り切ってるな?何かあったのか?」
「その母親にさ、たまには赤点以外も見せてやりたいんだ、頑張れば出来るって安心させてやりたいんだ」
佐々木の家は母子家庭だ、家庭が決して苦しい訳でもないが家族が母親しかいないので佐々木が元気だと良く嬉しがっている眺めているのを思い出す。
何度か遊びに行った時に会ったことがある、俺が友達だと分かると泣くくらい喜んでいた。
「そういう事か...頑張れよ、まぁ何かわからないところがあれば教えるから」
「ありがとな!と言ってもお前もそんなに良くないだろ?」
「まぁ佐々木よりかは点数いいから大丈夫だ」
「今回で愁を越してどこか奢らせてやる!」
「頑張れ頑張れ赤点くん...」
そう言うと「言ったな!?」と追いかけられて帰った。
どうやら可憐は部活を辞めたことで呼び出しをくらってるらしく先に帰っててと言っていた。
天音さんは委員会が遅くなるとのことだった。
「二人で帰るのも久しぶりだな」
佐々木がそう言うと俺も「そうだな」と返した。
俺の緩やかな日常は無くなっていった気がするが可憐や天音さん達と過ごす日々も日常になりつつあるなと思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。