『手作り弁当』
あれから一週間が過ぎた。
これといって変わったことはと言えば俺にもお弁当ができたことだろうか。
食堂で食べるB定食も美味しかったがお弁当も悪くない。
食べる場所が自由なのは新鮮でとても楽しい。
なぜお弁当になったかというと、氷翠さんと可憐が料理勝負をし始めたのがきっかけだった。
そしたら次の日から俺のお弁当を作る勝負をし始めた。
どう言った経緯でそうなったのかは想像もつかないが嬉しいことは変わらないので嬉しい。
◇
「今日こそ決着をつけようかしら?」
そうとう意気込んでいる可憐が氷翠さんを睨んでいた。
「望むところです」
氷翠さんも何故かそれに乗ってきていて、勝負を受けてしまうということだった。
「愁さん、今日もお弁当食べてください」
「あ、あぁ」
弁当を作ってもらえるのは幸せなのだが二人分を食べるのはお腹が辛い。
「ご、ご馳走様」
なんとか食べ終わった俺はそう言うと二人は嬉しそうに微笑んだ。
「それで貴方はどっちが美味しかったのかしら?」
可憐がそう言うと氷翠さんも真剣な表情で見つめてきた。
「愁さんは私のお弁当の方が好みです」
うん、美味しかったけど決定づけてるのは可哀想だと思う。
正直な話食べ終えるのに精一杯で味の優劣は毎回付けれてない。
「ごめん、どっちとも美味しかった...」
「また引き分け?」
「その言葉はもう通用しません」
「え、えぇ」
本当にどちらとも美味しいお弁当なのだが二人前は結構きつい。
「どっちともが弁当作るんじゃなくて二人で食べ合って悪いところ言えば良いんじゃないか?」
俺がそう言うと二人は互いの顔を見やって「信用できない」と言っていた。
話を詳しく聞けばそれも休日に試していたらしい。
試したはいいが自分の料理をデタラメな評価しまくる事態になったらしい。
さすがに二人ともそれでは決着がつかないと思いお弁当にして、俺の所へ持ってくる感じになった。
「話は変わるけど可憐って部活の方はどうなんだ?」
最近気になっていたことを何気なく聞いてみることにした。
「そんなの来はじめてから辞めたわ、才能があると妬まれるから」
あっさり言ってくれた、どうやら吹っ切れてるらしい。
「気にしてないのか?」
「あら、貴方が私のことを心配するのね」
「まぁ、出会って初日から心配してたけど...」
「貴方に心配されなくても大丈夫だから!」
少し顔を赤らめて可憐がそう行ってきたので「はいはい」と適当に返しておいた。
部活を辞めたのはいいが今後そいつらが絡んでくる可能性はあるが大丈夫だろうと思った。
「愁さん、ずっと思ってたんですが彼女だけ可憐と呼び捨てなのはずるいと思います...私も天音と呼んでください」
俺と可憐の話を黙って聞いていた氷翠さんは少し拗ねていた。
「突然だな...氷翠さん」
「天音でいいです」
「天音さん?」
「・・・それで今回は許しておきます。今度は天音と呼び捨てしてもらいます」
「努力する」
この一週間でふたりとの距離が縮んだ気がした。
◇
「四乃宮可憐だったわよね、この間辞めた女」
「そうです、勝手に辞めていきました」
「聞く話によると最近調子に乗ってるらしいじゃない?少し痛い目見せてあげようかしら」
可憐をよく思わない女がここに一人いた───。
(あとがき)
佐々木「俺一人だけ食堂嫌だな...購買のパン買ってあそこに突入するか...」
お調子者で顔は広いが本当に仲が良いと思ってるのは愁だけ...
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