『明日の準備』
氷翠さんと可憐と別れ、俺は一人で帰路を辿っていた。
可憐の家は知ってはいるが氷翠さんの方はどちらの方向か...程度でしかわかっていないが、見事に三人とも別方向だった。
俺は妹のことも考えなくてはいけないので一人の方が嬉しい。
真理亜からのダブルデートのお誘いはもちろん断っておいた、二人のうち片方を連れていくとしたらその後が面倒になりそうだと判断したのと、西条という真理亜の彼氏についてよく知らないからだ。
こちらから距離を置こうとしているのに対して真理亜はお構いなしで俺の方に来る。
こちらの気も知って欲しい。
可憐に対して言えば今日は元気そうだったが、謎が多すぎる。
泣いていた顔を思い出すが、それについて触れないであげた方がいいのだろうか?
まだハッキリとできない行動をしている自分に腹立たしくなってきた。
妹のこともそうだった、結局逃げることで、時間に任せて解決しようとしたのだ。
あまり関わらない方が可憐的にはいいのかもしれない。
結局はたった数日の仲でしかないのだ。
俺が可憐に対して、このような考えをすること自体がおかしいのかもしれない。
それにしても、真理亜に彼氏ができてからもう主に女性と関わる機会が増えた。
最近だと寝ていても起こされることが多い、もう少し寝かしてくれてもいいだろうがクラスから認知されてることは少し嬉しく思ったりする。
「はぁ...」
溜息を零すと、白息がでる。
近場の自動販売機へ寄り道をしココアを買うことにした。
夕方になり少し肌寒くもあるが、この寒い時に飲むココアは体に染み渡る。
因みに苦いのは無理だ、甘党なんだから仕方ない。
「帰るか...」
ココアを飲み終わり今度こそ寄り道せずに帰った。
「ただいま」
そういうが返事が帰ってくることは無い、癖というものだろう。
高校生になるまでずっと家に帰りつくと「ただいま」と言っていた記憶がある。
家には必ず早く帰っている妹、愛歌が「おかえりなさい」と声をかけてくれるからだった。
一人暮らしなのに「ただいま」と言うのは変な違和感を覚える。
「明日は早起きしないとな...」
俺も別に妹が嫌いなわけじゃなかった、逆に妹に対して甘い方だと思う。
だがそれは家族として俺が認識していたからの甘さだと言える。
愛歌が家族として俺を見てくれなかったことは少し悔しい。
いや悲しい。
生まれてからほとんど一緒に過ごしてきたのになと思う。
「少しだけ体動かすか...」
こういう時に体を動かすのは一番良いと思う。
筋トレをするのだが、軽い運動しかできない。
本当にそれする意味あるのか俺も疑うが部活もしていない帰宅部にはこういう軽い運動でもやるとやらないのでは差があると思う。
そう信じでずっとやっている。
◇
数セット筋トレをし少し汗をかいたので風呂にし軽く夕食を食べて明日の準備をしていた。
「目覚ましよし、着替えよし、朝食の作り置きよし、じゃあ寝るか...」
目覚ましは毎日しているがしても意味ないので確認する必要は無い、そのため朝食を作り置きにしておいた、作る時間を寝る時間にしただけだ。
着替えは...俺にはファッションセンスはないのでパーカーやジャケットだった。
まぁ、特に準備という準備はしていない。
明日朝起きれるかが重要かもしれない。
朝の10時、土曜日なので二度寝の誘惑に負けてしまいそうになる。
少し不安がりながら眠りにつくことにした。
(あとがき)
愁「あ、そういえば俺愛歌の連絡先しらないんだった...」
(高校生になってスマホを買った、尚愛歌は誕生日に買って貰った)
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