『幼馴染からの呼び出し』
何とか昼食を過ごし、午後の授業になる。
氷翠さんは何故か可憐を見て喜んでいた...一人だけクラスが違うからだろうか?やはり二人は仲良くなれなかったみたいだ。
それに対して可憐は悔しそうに眺めていた。
そんなに一緒のクラスが良かったのだろうか?と言っても今の時期は冬なので新学年になった時のクラス替えにでも期待してもらおう。
「そういえば愁、幼馴染様が呼んでるぞ?」
放課後になり早々に佐々木に声をかけられた。
「ん?俺?」
「あぁ、幼馴染様からのご指名だそうだ」
佐々木が言うには俺の幼馴染、篠崎真理亜が俺を呼んでいるらしい。
実際にはどうなのかわからないがとりあえず真理亜がいる方へ向かうことにする。
「真理亜、用事って何だ?」
「愁、遅い!」
「はいはい、ごめんなさい。手短に頼む」
「おじさんから連絡来たよ...明日妹ちゃんに会うんだって...大丈夫なのかなって思って来たんだけど」
何だその事か...。
「別に大丈夫だろ、そろそろあいつも大人しくなってくれてるだろうし」
「そうだといいんだけどね...」
いつも元気が取り柄の真理亜だが俺の妹のことになると少し不安な顔をしている。
「そろそろ『お兄ちゃんと結婚します』って意見を変えてくれればいいんだがな...」
そう、俺の妹神山愛歌(こうやまあいか)はおじさんとおばさんが俺を養子にしてから1年後に生まれた妹だった。
中学生になると、おじさんから俺と愛歌が血の繋がりがないということを伝えたらしい。
俺にも事前に話をしてくれていれば良かったのだろうが突然そのことを告げその時の愛歌の反応は『それならお兄ちゃんと結婚できますね』と言う反応だった。
所謂ブラコンというやつだった。
最初は俺も特に気にする事はなかったが中学三年生にもなるとその行動がおかしく感じ始めた。
高校生と同時に妹から離れることにした。
妹は俺を甘えさせてきてダメ人間にでもさせるかのようだった。
「愁が絡むと別人になるからね〜、それで大丈夫そうなの?」
「まぁ、何とかなると思う」
あれから約一年、そろそろ兄離れしてくれていると思う。
好きな人の一人や二人、いや二人居たらダメだけど好きな人くらいできてる事だろう。
そうすれば不安もなくなるし今後も会えるようになるかもしれない。
俺から距離を取るのは愛歌のことを思っての行動だった。
「それで用事ってそれだけじゃないだろ?」
「やっぱり愁にはお見通しだよね...来週の日曜日にデートがあるんだけど...ダブルデートにしないかって西条くんが言っててこういう時に頼れるの愁しかいないの...」
「俺彼女居ないけど?」
「彼女っぽい女の子二人居たじゃん!その片方に頼めないかな?」
「ん、まぁ一応聞いておくから」
「ありがとう!それじゃよろしくね!」
決まったことのように走り去って言った。
聞いておくだけだから確実にダブルデートに行くわけじゃないのに変な期待をしないで欲しい。
俺からは極力真理亜と関わるのはやめた方がいいので聞くだけにしておこう。
明日は妹、愛歌と会う日だ。
早起きできるかな...。
そう思いながら帰ろうとしたら氷翠さんと可憐に睨まれたのは言うまでもないだろう。
(あとがき)
神山愁「そういえば二人とも俺とデートするか?」
氷翠天音「で、で、デートですか...私は雨の日でも嵐の日でも雷の日でも行きます」
四乃宮可憐「貴方がどうしても行きたいなら行くけど?」
神山愁「いや、聞いてみただけだから気にしないでくれ」
天音、可憐「・・・」
めちゃくちゃ睨まれた。
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