『お腹がいっぱいに...』




 その後佐々木のおかげ?で真面目に授業を受けて、昼休みになっている。


 もちろん食堂に行くつもりだったが、まだやり残したことがあると言って先に佐々木と氷翠さんを食堂に行かせた。


 もちろん、氷翠さんは不機嫌になりながら聞いてくれたので後でご機嫌取りをしないといけないな...と思う。


「四乃宮可憐...今日来てるのか?」


 そう、俺は可憐を探していた。


 来ている可能性は低いが一応探しておくほうがいいだろうと思ったからだ。


「ちょっと来なさい!」


「ちょ!待って痛い痛い!」


 そんなことを考えていると誰かから耳を引っ張られて屋上へ連れていかれた。


「貴方が学校に来いって言ったから来たのだけれど?放置ってどういうこと?」


「す、すびばせん...」


 どうやら学校に来た時から俺を見つけていたらしいが俺は一向に気づく気配なしだったらしい。


「それより貴方お昼はまだよね?」


「ん?そうだな」


「じゃあここで済ませましょ」


「え?俺食堂に行くけど...」


 そう言ってから食堂に向かおうとすると「私も行くから!」と後をついてきた。


「それにしてもちゃんと来たんだな...」


「貴方が来いって言ったんでしょ」


「来ないと思ってた...」


 食堂に向かっている間軽い雑談を挟んでいたが、すぐに睨まれた。


「・・・」


「・・・」


 俺と可憐は話すことも無くなり食堂に早足で向かうと、不機嫌な氷翠と泣きそうな佐々木がいた。


「お待たせ」


 そう言うと氷翠は不機嫌な感じを消し俺を見るが横にいる可憐を見て少し睨んでいた。


 佐々木はと言うとやっと解放されて嬉しがっているような顔をしていた。


「愁さん、その隣にいる女性は何ですか?」


「ん?あぁ、彼女は四乃宮可憐...一応友達だ」


 そう言うと可憐は「よろしく」と一言いい、氷翠さんと睨めっこをしていた。


「・・・」


「・・・」


 どうやら仲良くなれそうにはないらしい。


「今日はカレーにしようかな...」


「おいおい愁、二人が喧嘩しそうだぞ?」


 呑気な俺に対してビビりがちな佐々木、少しカオスかもしれない。


「二人が仲良くなれないなら仕方ないだろ、俺がどうにかできる訳じゃないから」


「お前なら何とかできるだろ...」


「努力はする」


 佐々木と少し会話をし、視線を可憐と氷翠さんに向ける。


 案の定睨めっこが続いているのだが、可憐の方が表情豊かな分勝ってるような気もする。


「二人ともそんなに睨めっこしたいなら他でやってくれ...」


「「はい...」」


 何とか落ち着いたみたいなので俺はカレーの食券を買い、席に座ろうとしていた。


「貴方があっちに行けばいいでしょ?」


「私があっちに行く理由がありません」


 ややこしいのでジャンケンで決めてもらった。


 ジャンケンは可憐が勝ち、何故か俺の隣に、氷翠さんは負けたので俺の前に座ることになったらしい。


 この中で一番の被害者は佐々木だと思った...。


「そういえば貴方にこれをあげるわ」


 可憐が取りだしたのは手作りのサンドイッチだった。


「この間奢ってもらったから、それのお礼ね、他意は無いからね?勘違いしないで」


「ん?あぁ、ありがとう」


「愁さん、今日もあ〜んさせてあげます」


「あ〜んね...私もしてあげる?」


「いや、もう十分だって...」


 今日はお腹がいっぱいになって午後はキツかった。


 ちなみに可憐にサンドイッチを詰め込まれ、氷翠さんにたこさんウィンナーを口に入れられ、カレーで飲み込んだ。


 こんな日々も悪くないと思ってしまう、これが幸せだということなのだろうか。




(あとがき)


 愁「そういえば可憐、連絡先交換しとこうか」


 可憐「貴方がそう言うなら交換しといてあげるわ...」


 愁「ん?あぁ、別に変な目的で交換するんじゃないぞ?昨日のことで少し心配だからな」


 可憐「貴方に心配されなくても大丈夫だから...本当に念の為にだからね?」


 愁「はいはい、とりあえず早くかせ」


 愁、可憐「あ...」


 借りようとしたら手が触れて気まずくなったらしい。

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