『優しい嘘は彼女を救う...だろう』
「次は何処に行くんだ?」
「家だけど?」
「帰るの?」
「そうだけど?」
どうやら今日は帰ることに決めたらしい、流石に家まで追うのは気持ち悪いと思うのでやめておくことにしよう。
「じゃあ、家まで送って帰ることにしよ」
「は?ここで別れればいいでしょ」
「女の子一人にして帰るなってじっちゃんが言ってた」
「それどんなおじいさんよ...」
俺の冗談に呆れ顔の可憐、面白いことを言ったつもりだったがどうやら違ったらしい。
彼女的にはもう早く家に帰りたいという感じはしないのでゆっくり帰ることにでもしよう。
「それで俺明日は学校行かないとやばそうだから、サボらず来た方がいいよ?今日だって変な男こっちの方見てたし...」
「そうだったの!?」
「ほんとほんと、さっき喫茶店に入ったのも実言うと男たちがいたからだよ、全く学生が昼間からサボって出歩くのはよくない」
「貴方も学生で私と一緒にサボったわよね?」
「ま、まぁそうだけど...気をつけた方がいいよ?って感じの忠告だから、それじゃあまた明日」
俺はそう言って家に帰ることにした、実言うとこの男たちがいたという話、嘘である。
彼女が明日も来ない場合は本当に男たちに襲われてる可能性があるので、こういう嘘を言ってでも来るか家で休むかの2択にしてほしい限りだ。
実際に彼女が、明日来る可能性なんか信じられないが、それでも心配をしているということは確かな事だった。
なので後は俺が彼女のことを信じてあげれば来るだろう。
我ながら適当な考えだが、氷翠のことも今日は放置してる。
先日の件もあるので、明日は学校に行くしかない、怒ってたら怖いし心配させてたら申し訳ない。
そんな気持ちでいっぱいだったりする。
「それより、ほんとに大丈夫かなぁ...」
やはり、可憐のことが気になってしまう俺がいる。
彼女の事情については無理強いして聞くことはなかったがそれでも気になってしまうのが俺だ。
何をしていても俺には関係ないことなのだろう。全く人と関わることはそんなに好きじゃないのに自分から関わりにいってるじゃないか、矛盾しているが、今日一日サボってしまって思ったことは楽しかった。
それだけだった。
こんな気持ちになったのはいつぶりかもわからないが学校をサボることなんか俺の場合なら何度かある。
本当はいけないことなのかもしれないが、俺の場合寝坊でサボってしまったりなど、学生ならあるある程度のことでサボる。
寝坊しても行けと言うのは事故れと言われているのと一緒だ、完全に目が覚めてから行くべきだと勝手に思い二度寝して、三度寝していつの間にか昼を過ぎていて結局まぁいっか...となってしまう。
幼馴染である真理亜が見かねて俺を起こしに来るようになっただけの話だった。
彼女を救うための嘘ならいくらでもついてあげようかと変なことを考えながら帰路を辿った。
◇
家に帰ると俺はふと失点を思い出してしまった。
連絡先聞いとけば明日来いとメッセージで言うことができたかもしれないな...と思ってしまった。
またすぐ会えると思って今日は疲れたので目を瞑ることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。