『ココアにしとけばよかった』
俺たちは学校をサボりファーストフード店に来ていた。
「なんでも頼んでいいよ?奢ってやる!!」
「なんで貴方は上からなのよ...お言葉に甘えさせてもらうけど」
「そうしとけ」
そう言って俺は店員にコーヒーを頼んでおいた。
ココアが良かったけどここは女の子の前なので強がってコーヒーにした。
まぁ、ココア飲みたいな...そう思ってしまうところもあるが明日飲もう。
ちなみに可憐は「ココアとサンドイッチで」と言っていた。
くそ、俺もココアが良かったな...目の前でココアを飲まれると思うと頼めば良かったと結構後悔する、いやしている。
「それにしても...」
「ん?」
「私に構う理由、そろそろ答えてくれるかしら?」
「理由?」
「ええ、理由よ」
「さぁ?なんでだろうね?サボりたかったからかな?」
特に理由はないけどそれでも別にいいんじゃないかなと思う。
何かあって彼女に声をかけてるだけならただの自己満足でしかないということになってしまう。
「サボるための理由が私?」
「まぁそう思ってていい」
「そう」
「その方が気が楽でしょ?そっちは」
「ッ!?ええ、そうね」
図星をつかれたみたいに1度驚いた表情をしているがすぐに元の顔に戻してしまった。
「何こっち見てるの?」
俺が眺めてることにご不満があったみたいで少し怒り気味でこちらへ話しかけてきていた。
「見てたらダメだった?」
「別にそうと言ってないけど...」
「ならいいじゃん」
口で勝ったみたいだ、少し不満げに黙って届いたサンドイッチを口に含んでいた。
「朝食べてないんだ」
「ええ、朝は少食派なの」
「まぁそれは仕方ないな」
そう言ってからは可憐はもぐもくと小動物のようにサンドイッチを食べているので少し可愛いななどと思ってしまった。
「そういえばさ、何でサボってるの?」
「貴方に話すことじゃないわ」
「だよね〜」
このキャラ案外疲れることから俺の返事は適当になってきていた。
もうこのキャラやめていいかな...。
「それで、これからどうする?」
「これから?」
「明日もサボるんだろ?」
「どうかしらね...」
人の目を見て話さないことから何かしらの理由があるということはわかっているのだが肝心の理由は今日初めて会った他人なので全く予想がつかない。
「それでどうなんだ?」
「貴方さっきと変わってない?」
「面倒だからな、今までのは演技だからな」
そう言うと顔が強ばっていた、いかにも警戒されたような感じだったな、まぁキャラ作っていったのが悪いのは確かだけど。
「まぁ何もする気ないから、変な男演じるの疲れてきただけ...はぁなんで俺あんなことやったんだろ?」
「自分で疑問に思ってどうするのよ...呆れてきたんだけど」
まぁ、呆れてきても仕方ないだろ、俺も疲れてきたんだからな。
そう適当に話しているとサンドイッチを食べ終わったみたいだった。
他にも何処か行くみたいなので、立ち上がって会計を済ませ、外に出た。
肌寒い、コーヒーよりココアにしとけば良かったと、何度も後悔した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。