『押しに弱い』
「なんでついてくるの?」
「気になったから?」
実際嘘は言ってはいない、気になったというのは事実だし、目がやはり赤い。
なにか事情があるのだろうが俺に話す気はないだろうと思う。
事情が無くても他人に話すようなことは何一つないだろうと思う。
「ストーカーで訴えようか?」
「俺もこっち行く予定なんだよね」
「学校は?貴方同じ高校でしょ」
「それ言ったら君も同じ高校でしょ?お互いサボりかな?」
どういう接し方が丁度いいのかは手当り次第探っていくしかない。
「サボりじゃありません、休みます。家に帰るのでついてこないでください」
「俺も入れてくれない?」
「無理です。ついてこないでください」
「今日学校サボるからさ行くあてないから...ね?」
「他人を家にあげるほど馬鹿な子じゃないので」
「よっし!友達になろっか。俺、神山愁よろしく」
このテンション疲れるので早く終わらせたいと思う半面がある。
内心は溜息しまくってるけど行動したからには最後までしたいと思う。
さて、乗ってくるか...?
「四乃宮可憐(しのみやかれん)です」
「よし!可憐家に入れてくれ」
「無理です、それにすぐ呼び捨てとか常識知らずですね、"神山さん"」
「神山さんって...別に強調しなくていいぞ"可憐"」
やられたらやり返さなくてはならない、倍返しにはならないけど軽い抵抗はした。
馴れ馴れしいと言われたらそれまでだが彼女はそんなことは言わなかった。
口では言っていても何故かしら心からそう言っているようにはどうも思えない。
このような会話とそう思えるくらいの仲にいつの間にかなってたというのであれば俺たちの相性はいいのかもしれない。
◇
それから数十分ほど話しかけてみたが後ら辺は面倒くさくなってしまったのか俺の話を聞いては適当に返してきた。
少し拗ねるぞ?...いや俺が拗ねても誰得だよ...意味ねぇか。
「もう、どこまでついてくる気?」
「地の果まで?」
「なんで貴方も疑問形なのよ!意味わかんない.....はぁ」
先程からこの質問ばかりでまた振り出しに戻りそうになっていて内心超焦っている。
「逆にそっちはどこ行きたい?」
「今何時だと思ってるの?まだこの時間はどこも開いてないわよ!」
「あ、確かに...」
まだ7時くらいだ、そう言われたらこの時間帯から開いている店というのは思った以上に少なかった。
本当は歩くの疲れたしファミレスとかどこか休憩するところが良かったのだが...と思ったりもしたが彼女は特に気にした様子は見られない。
本当によく疲れないな...と少し感心する。
「運動部か何か?」
「ッ!どうしたの?突然」
明らかに動揺が見られたということから部活動がこの1件と関係しているのかもしれない、そう思ったが心の中で留めておく。
「いや、よく歩くよなって思った...だけ」
「そうね、運動部だけど何か?」
「いや、道理で体力あるよね、俺なんかヘトヘトだよ〜」
俺は実際ヘトヘトだというわけでなく、外が寒い、この時期寒さには勝てない。
早く暖かいとこに行くか自販機でココアを買いたいと思ったりもする。
「そう、じゃあ学校行ったら?」
「無理無理もうサボるって決めたからなついでに可憐もサボるの決定だから」
「そ、そう...もうわかったから少し休みましょう、疲れたんでしょ?」
よっし、ラッキー、この子可憐って名前と友達と部活動について触れれば何とかいける。
押しに弱いな...と思った。
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