第10話

ゆあと朱莉と同居して、早くも一週間が経ってしまったある日。

俺は、学校にて相談室という名の教室らしきところに、テーブルを挟んで先生と向き合ってパイプ椅子に座っている。

「――それで、学校を辞めたいと?」

「は、はい、そうです」

少しの緊張と、それ以上に不安、恐怖が積もる中、俺はそう答えた。

「うーん......でも、もうちょっとだけ頑張ってみない?」

と、俺に元気づけようとしているのか、見た目は普通にかわいいがロリ体系とかではない愛生あおい先生は、そう言うが。

「いや、このまま学校生活を送ったとして......その後には何が待ってるんですかね?」

「そりゃあ、進学とか、就職とかでしょ?」

そりゃあそうだ。

「俺は......俺は、天国のような生活をしたいんです!」

俺は、勢いよく立ち上がってそう言った。

「て、天国の生活......?」

もちろん、愛生先生にはその意味が分からない。

「......まあ、一言で言うならば、幼女と一緒に暮らしたいってことですね」

「......い、いや、その、そんなドヤ顔で言われてもな......」

おっと失礼。

「ふーん......その子たちって、親戚?それとも、お隣さんとか?......たしか、悠真には、妹なんかはいなかったはずだけど......」

「あ、はい、ええと......なんというか、ショッピングモールで出会ったんです。朱莉っていう子に」

「ショッピングモールで?どういう経緯で?」

「ほら、俺って小説書いてるじゃないですか」

「え、あ、まあ、そうだね」

「それで、小説のネタになるものが無いかとショッピングモールに行ったんですよ」

ちなみにこの説明していることは、大体は嘘だ。

だって、幼女を見たいからショッピングモールに行ったんだからさ。

「で、ショッピングモールで何か見ているときに、ふと女の子と目が合ったんです」

「へぇ、そうなんだ......というか、そもそもそんな事ってあり得る?」

「ありえないと思いますけど......でも、俺は目が合ったんです」

普通なら、目が合うこと自体が滅多にないだろう。

目が合ったとしても、そもそも声をかけてくることなんてほぼ無いのに......。

「それで――」

その後、少しの間俺は朱莉との出会いを話した。

「――で、もう一人の女の子っていうのが、朱莉の友達のゆあなんです」

「なるほど......で、一応っていうか、同居はしていると?」

「まあ、そうですね」

そこで、愛生先生は一度息を吐くと、こう続けた。

「つまりは、その子たちと一緒に生活がしたいから学校を辞めたいと」

「......そうです」

愛生先生は、一度腕を組み考え込む。

そして数分後。

「......まあ、辞めたいって言うなら、私は何も言わないけどさ......その、食費とかってどうするの?」

学校を辞めて、この後の生活はどうするんだというような質問。

「大丈夫ですって、これでも小説で稼いできた方ですから」

「それならいいけどさ......あ、それとこれ」

すると、愛生先生が持っていたバッグからは、一つの封筒が出てきた。

「これは......?」

「これは、退学......と言ったらおかしいんだけど、とりあえず学校を辞めるんだったら、この書類に記入して明日持ってきてね」

「は、はぁ......」

俺はその封筒をもらうと、愛生先生はすぐにこの教室から出て行ってしまった。

「......ふぅ」

俺は、その場で小さくため息をついた。


「あ、お帰りなさいっ!」

家の扉を開けると、そこにはスカート姿の朱莉がいた。

「うんただいま......というか、ゆあは?」

「ゆあは、自分の部屋でお昼寝してますけど......お出迎えはゆあの方が良かったですか?」

と、朱莉はうっすらと涙を浮かべてそう言う。

「え、いや、その......いつもは、ゆあと一緒に出迎えるからどうしたのかなって」

「あー......ふひひっ、悠真さんって、いつも優しいんですね」

「えっ?」

「他人に気を配れるところとか、周りを見て行動したり......やっぱり、悠真さんのようには、私はなれませんね」

朱莉は、少し苦笑しながら言う。

「そうか?......でも、朱莉もゆあも、他人に気を配れると思うけどなぁ......」

独り言のように言う俺は、さっそく家の中へと入って行った。

「寝顔もかわいいもんなんだなぁ......」

家の中に入るや否や、俺はゆあの自室に入りゆあの寝顔を見ていた。

一応朱莉には、入っていいという了承をもらっているのだが......はたして、それっていいのか。

「んにゅ......むぅぅ?」

寝返りを打つたびに、発せられる小さな声。

その声というのは、ロリならではの声なのだ。

「ふふっ......おにいちゃん......」

「......夢の中になぜ俺が?」

まあ、夢の中に出てくるものは人それぞれなので、別に何が出ていようが関係ない。

「んん......あえ?なんれ、お兄ちゃんが私の部屋ひぃ......?」

と、今まで寝ていたゆあが起きてしまった。

「...........................」

俺は無言のまま、その場で固まりゆあの視線が合った。

「んんっ、ふぁぁ......お兄ちゃん?どうしたの?」

「――はっ!?」

ゆあの一言で俺は現実に戻された。

「ご、こめんなさい!!」

俺はすぐさまゆあの部屋に入ったことについて謝った。

「なんで謝るの?......別に、私の部屋に入ったからって怒りはしないって......」

ゆあはまだ眠いのか、目をこすりながら言う。

ロリ声で、しかも甘ったるいような声......これについては、幼女ならでは。

しかもパジャマ姿が微妙にエロく感じるのはなぜなのか。

「......というか、胸元開いてない?」

「えっ?......あ」

見ると、ゆあの胸元は少し開いていた。

ゆあが来ているパジャマは、ボタンで留めるもので、その上のボタンが留まっていなく胸元が少し見えるかなっていう感じ。

......というか、下着着ないんですね......。

「むぅぅ......お兄ちゃんのエッチ......」

口ではそう言うものの、顔は赤くなっていてなぜか少し微笑んでいる。

「い、いや......そんなつもりは......」

ゆあはゆっくりと、自分のパジャマのボタンを留めていく。

「これで、いいかな......」

「......できれば、おっぱい見たかったです」

俺はそんな要望をゆあに言うが。

「そ、それは、だめぇぇ!」

と、あっさり拒否られる俺氏とは。



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