第52話 翌日
豪勢な部屋、ここは王が入って仕事をする書斎だ。俺の部屋とは大きく違う広くて、朝日が天井についているシャンデリアに当たり、キラキラと光っている。
この部屋とは打って変わって、俺の服には装飾品は全くなく、ただのシンプルな普段着だ。
この部屋には今、都獅とユウ斗、俺の三人がいた。
昨日の戦いのせいで、筋肉痛になった俺の足や腕をなんとか直そうと、マッサージをしながら俺たちは話を始めた。
ユウ斗と都獅の傷口などはなぜか一晩したら跡形もなく消えていた。やはり普通の人間ではあるが、神級として召喚された者の力なのだろうか。
「即位取り消し?!」
「なんと!?」
「声が大きい、そこまで驚くな」
直接耳に二人の大声が入らないよう両手で耳を抑えた。
「正しくは取り消しではなく、式がなくなり、俺が王になるのは保留」
「あんなに王になれとか言われていたのにか?!」
「少々身勝手ではござらんか?」
「俺もそう思った。だが、親父が兄貴を再度捜索するそうだ」
親父の言った信じられない言葉に俺は聞いた時驚きが隠せなかったのもあるが、なぜか内心は安堵をしていたように思えた。
「でも兄ちゃん探すって急に言われても、いままで頑張って来たこと無駄になるんじゃないかよ。じゃあ昨日の死ぬ物狂いな戦いは何だったんだ!?」
「拙者はリョウバ殿の兄者を探すと申してよかったと思うでござる」
「ま、これで俺は、仮がつく王候補になったということだ」
「けれど王位は続くのでござるな」
「親父も年だからな、さっさと決めないと直ぐにくたばるかな。だが、カイの件も会ったことだし、しばらくは何もしないだろう」
机の上に置いてあるカイが探してきてくれた古典書を見た。
「事がすんだら王即位の話をまた一から話直すと言っていた。それまでは現王、親父が王をし続ける」
「リョウバのために戦ったのに本当に損した気分だ」
ソファにゴロンと転がり、ユウ斗は足をバタバタとさる。
「リョウバ殿、一つ質問したいことがあるのだが」
「なんだ?」
「なぜこの者がここにいるのだ?」
目線の先にいるのは、都獅の隣に座ってオレンジジュースを静かに飲み続けているライカがいた。
「ら、ライカ!?」
転がっていた体を起きあげ、ユウ斗はライカを見た。
「こいつ何でここにいるんだよ!?」
「拙者も理由は分からないのでござるが」
ライカは急に都獅の着物を掴んで、じっと見つめた。
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