第47話 ライカ・コウ
そうだ、ライカは幼い頃に両親に天才児として育てられ、生かされてきた。そして召喚をさせられて、牢獄へ入れられた。
だからライカは本物の親の愛を知らないし、親の顔も覚えてないだろう。
ライカのあの伸ばしている手は誰かに抱きつきたい、甘えたいのだ。
ライカを見ていると、幼い頃の自分と重なるのが見えた。
父に兄貴に手を伸ばしても、誰も手を握ってはくれない。必死に訴えて、必死に泣いて、必死に名前を呼んで。
悔しさに、歯を食いしばった。
「ユウ斗! 都獅!」
そう二人を呼んで、二人の前へ走って行った。
「何用だ、リョウバ」
「リョウバ殿! ここにいては危険でござる!」
「リヴァイアサンを少しの間引きつけてくれ!」
俺の一言に二人は足を止め、俺を見た。
「なにをする気なんだ?」
「頼む。ユウ斗、都獅」
力強い目で二人を見た。二人は俺が何をやろうとしているかは分からないので、少々焦っていた。二人は顔を見合わせ
「……わかった」
ユウ斗は不満そうに
「少しの間だけでござるよ」
都獅は不安そうに承諾をしてくれた。
俺達がアイコンタクトを取って頷いた瞬間、リヴァイアサンは痺れを切らし、俺たちに向かって体当たりをしてきた。
俺たちはとっさに気付いて、間一髪でそれから避ける。
避けた瞬間にユウ斗は傍に置いてあった武器、ロケットランチャーを肩に抱え
「最後の一発くらってもらおうか!」
と言ってリヴァイアサンの頭目がけて撃った。しかし、それに気付いたリヴァイアサンはそれを軽々と避け、「どうだ」と言わんばかりにニヤリと笑った。
ユウ斗は下を俯いた。絶望したのか、持っていたロケットランチャーの発射台を空へと投げる。そして顔を上げて
「残念だったな、蛇野郎」
とリヴァイアサンと同じように笑みを浮かべた。
「俺様の技術を舐めるなよ」
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