第46話 ライカ・コウ
「じゃあ今まで俺たちの攻撃は無意味だった訳か!?」
「拙者達は戦い損だったという訳でござるか!?」
あああ、と二人は唸った。
いつの間にここまで仲が良くなったのかというくらいのシンクロぶりに、俺はなんだか情けなく思えてしまった。
「でも、ほかに方法はないのか?」
ユウ斗が唸り声をやめ、真剣な目で俺を見てきた。
「今は、見つからない」
本心を言った。ユウ斗は「そうか」と一言付け足し、俺から離れた。ふらついた足で、一歩、また一歩と歩き出す。
「なにをする気だ?」
「攻撃するんだよ、あのデカ物に」
そう言ってまた一歩と足を前に出した。都獅はその言葉を聞いて
「方法がないのなら、それをやってみるしかないでござる」
とユウ斗と同じように足を引きずりながら、リヴァイアサンに向かって歩いた。
「やめろ! 無駄だと言っただろう! あのリヴァイアサンを気絶させるなど!」
俺は二人を引き留めようと声を出した。けれど、二人の足は止まらない。
「無理も承知だ」
「やれるところまでやるでござる!」
背を向けながら強く言った。
(一体どうすればいい)
俺は頭をフル回転させた。勝てるはずのない相手、それに攻撃しようとする二人、何をどうすればこの場を切り抜けられる?
目を固く閉じた。
「……マ」
目を閉じていた時、小さくて弱弱しい声が聞こえた。声のした方を探し出す。
声はリヴァイアサンの召喚者、ライカ・コウの物だった。ライカは未だ虚ろな目をしてどこか遠くを見つめ、誰かを探しているように両手を前に出して空を掴んでいた。
「何がしたい……?」
俺は再度目を閉じ、ライカの声に耳を向けた。
ライカは何度も口を開く。そしてまた、弱弱しい声を出して
「パパ、ママ……」
「!?」
自分の父母のことを呼んでいる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます