第44話 共闘

 やっと闘技場へ入ることができ、俺は客席から中央を見た。そこにはライカ・コウと召喚獣のリヴァイアサンが並んで立っている。

 そして、その目の前には服も体もボロボロになって立っているのがやっとの二人がいた。

 姿を見た俺は瞳が揺らいだ。服に血がついていて、顔も傷だらけで。

 俺は何も出来ていない、ただおとなしく捕まっていた、一瞬にして色々なことを後悔した。歯を食いしばり、俺は


「ユウ斗! 都獅!」


 と自分で出る限りの大声で二人を呼んだ。その場にいた全員が俺の方を見る。

 ユウ斗と都獅も俺の姿を見た。そして二人は俺の姿を見るとその場で安堵し、笑顔を見せた。

 何故笑う? 俺は捕まっていて何も出来なかったのに、お前たちを傷つけたのに。

 そんなことを考えるなど俺にはもうどうでも良くて、気付いた時には二人の元へ走っていた。


「やっと来たか、リョウバ」

「リョウバ殿」


 俺の姿を見た瞬間、ユウ斗は必死に立ち上がったが、その足はまともに立っていることさえままならず、ふらついた。

 そのユウ斗の姿を見た俺は、さっきよりもスピードを上げてそれを受け止めるかのように、ユウ斗の元へ行き、支えた。


「平気か!?」

「これが平気な姿に見えるかよ」


 血を流しすぎているのか、ユウ斗の目はうつろになっていた。


「リョウバ殿が無事で何よりでござる」


 都獅も必死に立ち上がり、血だらけになっている左腕を右手で支えながら、笑顔を俺に見せる。二人のボロボロな姿を目の当たりにしてまた後悔をした。


「悪かった、俺がもう少し早く来ていれば」


 悔しそうな表情をした。

 俺のそんな顔を見て、ユウ斗はいきなり俺の頬を引っ張る。


「ゆ、ユウ斗なにをする!」

「そんな顔している暇があるならリヴァイアサンをなんとかしろ」


 とリヴァイアサンを指さして言った。

 だが、俺にはそんな脅威より二人のことが心配で仕方なかった。


「拙者達は、リョウバ殿のそのような顔を見たくて戦ってきたのではござらんよ」


 やさしい声で都獅は俺に言う。


「共に闘うためだ」


 ユウ斗の言葉に俺は、ハっとした。二人の目を見てみるととても強く、信頼感にあふれていた。


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