第42話 少女

「リヴァイアサン……!」

「りぶぁいあ? なんでござるか?」


 聞いたことのない言葉に都獅は疑問を覚えた。ユウ斗は驚きが隠せない表情を浮かべている。


「昔、本で読んだことがある。このリヴァイアサンは神話の中の生き物で、海に生息している凶悪な存在の生物だと」


 ライカの召喚獣となっているリヴァイアサンを睨みつけた。リヴァイアサンはユウ斗の威嚇に一切ひるみもせず、「ぐぐぐ」と喉を鳴らして「ガアアア!」と地面が震えるくらい大きく唸った。その唸り声の息に砂埃が舞った。ユウ斗達はその風圧で飛ばされそうになったが、何とか持ちこたえた。


「なるほど、これは手ごわそうでござるな」


 都獅は風で乱れた髪を整えて、リヴァイアサンをユウ斗と同じように睨みつける。


「おい、都獅」

「何でござるか?」

「気を引き締めて掛るぞ」

「分かっているでござる!」


 都獅は刀を構え、ユウ斗は持っていた物の布を勢い良く剥いだ。布の下からはロケットランチャーが姿を現した。新品同然ともいえる輝きで、リヴァイアサンに銃口を向ける。

 見たこともない武器に、都獅はつい「おお」と声に出して驚いた。


「ユウ斗殿、その鉄の塊すごいでござるな」

「ロボット作っていたついでに出来たものだ。ま、俺にとったらこんなの簡単な作業だったぜ」


 と、さも自慢しているかのようにユウ斗は言った。それに気付かない都獅は目をキラキラとさせ、子供が羨ましがるような顔をして、ユウ斗の武器を見続ける。

 二人が会話をしているとリヴァイアサンがまた、遠吠えの様に大きな声を上げた。リヴァイアサンの大声、逃げ惑う人の悲鳴、闘技場は混乱に陥っていた。

 その状況を二人は今一度確かめ、リヴァイアサンを見た。勝ち目は0%に等しくなってしまった。だが、1%でも希望があるなら、二人は諦めなかった。


「死んでも後悔するなよ」

「御意」


 意を決し、ユウ斗はロケットランチャーを撃ち、都獅は刀を振り上げ、リヴァイアサンへと攻撃を仕掛けた。

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