第22話 あと二日
闘技まであと二日になってしまった朝。
今日こそはあの二人に、自分たちの戦い方を見せてもらわなければ。俺はあいつらの寝ている部屋へ入った。しかし、そこはもぬけの殻。二人は今日もどこかへ行ってしまったらしい。
「あいつらは?」
怒るどころか、あいつら自分の身のことは考えていないのか心配になる。
「おはようございます、リョウバ様」
俺が頭を痛めていると、いつの間に帰って来たのか、カイが部屋の扉を開けて一礼をしていた。
「カイ、奴らをみたか?」
「あの二人のことでしょうか? 見ていませんが」
カイはハっと何かに気付いたのか
「まさか、この状況でいなくなったのですか!?」
と大きな声を出した。
「その通りだ。俺は外を探すつもりなんだが」
「今すぐ私が見つけてまいります!」
カイは俺の話しを全く聞かないで、走ってどこかへ行ってしまった。
人の話は最後まで聞けよ、執事だろうが。
「今日は外に行くか」
部屋のクローゼットの中にあるフードつきの上着を羽織って、出かけることにした。
俺が王になったことは、国民も既に知っていることだろう。だから堂々と外はもう歩けなくなってしまったに違いない。着た服に力が入る。
「これが今までとの差、か……そんなことより探さなければ」
どうにかして外に出なければならない。だが堂々と門からなんて出られるわけがないので、部屋の窓から紐を使って、外へと出た。
こんな事になる前はこの手で何度も夜中の町へ出ていたから、この方法は楽だ。
地に足がついたことを確認し、俺は町へ向かって走った。
しばらく走ると、たくさんの民家が見えてきた。楽しそうな声と共に賑わう人々、ここは国の中でも一番多く人が集まる町だ。一本の大通りに沿って家や店がずらっと並んでいる。
先ほど着てきた上着についているフードを被った。その格好で、俺は人ごみに紛れて都獅を探すことにした。
人々は歩いている俺の存在に気付いていないようだ。皆、楽しそうに俺の横を通り過ぎていく。そのような人々を見ていると、俺はなぜかこの世に自分一人だけが立っているような気がしてきた。
城の中でつい最近までメイドたちに避けられていたあの時を思い出す。俺が兄貴と違うだけで相手の態度も変わった。そして俺が王に即位するとなると、また態度を変えてきた。
「人間をあまり信用できないな、これじゃあ」
俺は「今はこんなことをしている場合ではない」と思い出し、人と人を掻き分けて前へ進みながら辺りを見渡す。どうやらこの周辺にはいないようだ。
次の場所へ向かった。
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