第15話 獣との闘技

 大変だなとユウ斗は、うんうんと頷きながら言った。その様子を見ていた都獅は何か疑問に思ったのか


「して、カイ殿。それに出る者とは誰でござるか?」


 ときいた。カイは当たり前のような顔をして


「お前たちに決まっているだろう?」


 と答える。カイの答えに都獅は「やはり」と疑問が解決され、頷く。若干表情が不安な色に染まっているのは、きっと気のせいじゃない。

 しかしそんな冷静な都獅とは違い、ユウ斗は目を見開いていた。


「は!? 俺様たちが戦うのかよ!?」


 無理に決まっている! と言い言いながらユウ斗は頭を抱え込んだ。

 薄々理解していたが、やっぱり分っていなかったのか。


「戦いは派手にはやらないだから死にはしない。ただ、重症にはなるだろう」

「かわらねーよ!!」


 ユウ斗は再度落ち込んだ。その様子を見たカイは遠くを見るようにどこかを見つめながら


「お前たちが負けたら、リョウバ様は王族の恥とされ、この国から永久追放にされる」


 といった。


「永久追放だと……?」


 ユウ斗はゆっくりと顔を上げる。


「そして、お前たちはオークションにかけられ、どこかの貴族や王族に売り飛ばされるだろう」


 カイの言葉を聞いて、ユウ斗は顔を青ざめた。


「おーくしょん?」


 その中で、唯一意味がわかっていない都獅。


「売買のことだ。お前たちの」


 意味を知って、都獅もユウ斗と同じように顔を青ざめ始めた。そしてカイがとどめの一撃のごとく


「買った人々はきっとお前たちを、奴隷のようにこき使うだろうな。それか神級は珍しいからな、中身を見たがる奴もいるのではないか? 実験とか、解剖とかでな」


 と冷静に言った。二人は口を開けっぱなしにして唖然としていた。端から見たらギャグだな。


「よ、ようは勝てばいいだけだろ?」

「だ、大丈夫でござるよ」


 あははは、と魂のないような声を出して二人は笑った。

 自分たちの身にそんな危険が起こるとは、思ってもみなかっただろう。

 しかし、俺も今回は大変だ。獣ではないただの人間で、しかも過去の人物を手懐けなければならない。三日でやれというのは、親父は俺をこの国から追い出すことを考えているって事で間違いないだろう。

 そんなに王にしたくないのなら、式典を中止にして、兄貴を国の外まで行って探せばよかったのに。つくづく馬鹿な親父だな。だが、その誘いに乗ってやろう。

 俺は目の前に立っているルスを見た。

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