第14話 獣との闘技

 いつの間にか、外には星が見えていた。俺は古典書を山ほど持ってきたカイに、夕食を部屋に持ってこさせ、食事を始めた。俺はカイの持ってきた、召喚獣についての古典書を片手に食事をし始めた。


「リョウバ様、行儀が悪いです!」


 そんな様子を見ていたカイは怒りながら、読んでいた古典書を取り上げる。マナーに関しては本当にうるさいな。


「……俺より、あいつらを叱ったらどうだ?」


 俺は、自分の目の前のソファに座っている二人に視線を向けた。そこには、二人が行儀悪く食事をしていた。

 都獅は食べ物を見るなり感激をしたり、目をキラキラさせたり、ナイフとフォークの使い方が分からないのか、右へ左へオロオロしている。

 ユウ斗はナイフとフォークの使い方はわかるようだが、子供のようにボトボトとテーブルの上に食べ物を落としていた。

 その姿を見たカイは、フルフルと震え始めた。怒りが耐えきれなくなったのだろう。


「お前たち!!」


 取り上げた本を俺の方に投げ、二人の元へ行って叱った。


「カイは血管がいつ切れるか心配だな」


 これ以上カイが怒らないようにマナーだけは教えておくか、と二人の怒られている姿を見ながら思った。

 その時、扉を数回ノックする音が聞こえた。もう夜遅いというのに誰だ。


「入れ」

「失礼します」


 扉を開けて入ってきたのは、親父の執事のルスだった。小さい頃から世話になっている。もう年老いて髪や、顎に下がる髭が白くなってしまったが、今はよき友人という感じだ。カイもルスには世話になっている。言わば師匠の様な存在らしい。


「一体何の用だ?」


 そう言うとルスは懐から二枚紙を出し、俺に渡してきた。


「お父上様より言伝を頼まれました」

「言伝?」


 その言葉を聞いて何か、嫌な予感がした。


「獣との闘技を三日後に執り行うことになりました。三日以内に手懐けておけ、とのことです」

 ルスは俺に頭を下げた。


「ほう、三日か。いい度胸をしている親父も」


 俺はニヤリと口の端を上げた。勝負に出たのか、はたまたもう見放しているのか。


「三日後?!」


 カイは驚いている表情だ。

 何のことだかさっぱり分かっていないユウ斗は気になったのか


「おい、兄ちゃん何のことだ?」


 とカイに向かって、声をかける。カイはあまりに驚いているのか震える声で話始めた。


「召喚獣同士が戦う儀式のことだ。召喚された獣が召喚したものと心を通じ合わせることができるのか、確かめる戦い」


 ユウ斗は驚きが隠せないという顔をした。もちろん都獅も同じように。


「先に召喚した者と戦うのがルールで、低級は低級同士、中級は中級同士と同じレベルの者が戦う。しかしそれをするには、少しでも獣との関係を深めなければならない。普通、与えられる時間は二週間から三週間が主流だ」

「へぇ、それを三日でやれってのか?」

「そういうことだ」


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