第9話 召喚獣?
「リョウバ様!」
カイの大きな声が聞こえ、俺は目を覚ました。そこはさっきまでいた広間ではなく、自室のベットの上。どうやら運んでもらったらしい。
「カイ、式典はどうなった?」
「はい、リョウバ様が気を失われ、式典は中止となりました。広間が爆発の影響でガラスや、壁にひび割れが多数残っておりますが大きな怪我をした者は出ていません」
被害はそこまで大きくなかったらしい、少し安心をした。だが、一番の問題はまだ残っている。
「あいつらはどうした?」
過去からやってきたあの二人。この時代では全くの世間知らず。そんな奴らを野放しにしておいたら大変なことになってしまう。
「召喚獣のことでしょうか? それでしたら別の部屋におります」
その言葉を聞いて、俺はベットから出た。カイは「安静になさってください!」と焦るように俺を静止しようとしたが、俺はその言葉をきかず、自室の中の
居間の扉へ手をかけ、開けた。
「ふざけるな!」
「……」
そこには首輪をつけられ、鎖で繋がれている二人がいた。その光景は、外犬のようだ。青つなぎ野郎は暴れているが、着物の奴は魂が抜けたかのように、全く動いていない。
なんだ、この状況は。
「暴れ続けておりましたので、鎖で繋いでおきました」
冷静に言うカイ。
こいつは時々怖い。俺も幼いころに悪戯をして、カイに怒られ、こいつらと同じ状況にあったことがある。しかもそれで、場内を歩かされた。あれはどっちが主なのかわからない光景だったな。
だが、今は思い出に浸っている場合ではない。
「これはやりすぎではないか?」
と言ったが、カイはニコっと笑顔を向けてくる。
「所詮召喚された者です。これでいいのです」
その笑顔になんとなく、寒気を感じた。
「外しやがれ! 俺たちは犬や猫じゃないぞ!?」
青つなぎは俺たちが話している間にも暴れて、鎖を解こうとしていた。
しかし外れる訳もない。無駄な抵抗だ。
「何なんだ本当に! おい! そこの茶髪のガキ!」
ピクっと青つなぎの言葉に、俺は反応をした。
今、ガキと言ったか?
「無礼だぞ!? 召喚をした主、ましてや王となるリョウバ様に向かってそのような態度は!」
カイは怒っていた。それに驚きながらも、青つなぎは
「う、うるせーな! こっちは状況が全く読めていないんだよ! 召喚されたとか王だとか、意味分かる訳ないだろ!」
「口の聞き方に気をつけろ無礼者!」
二人は言い争いを始めてしまった。
(こいつらは、全く)
頭を抱えながら俺は、二人が繋がっている鎖を手に取り、グイッと二人同時に引っ張りながら、自室から出た。
「グえ!」
青つなぎは急にひっぱられたことにより首が締まったのか、変な声を出した。でもそんな声を聞いている暇はない。
とりあえずは、この状況説明を簡単にでも説明しない事には何も始まらない。
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