第6話 召喚の儀式


「な、なんだ?」


 召喚でこんなことがあるとは聞いていなく、俺は声を出した。そして、バン! と大きな音を立てて、光は爆発をした。光の爆風に周囲にいた貴族たちは巻き込まれ、飛ばされた。俺も爆風に巻き込まれて、陣から出そうになってしまったが


「大丈夫ですか!?」


 とカイが支えてくれる。


「一体なにが起こったのですか!?」

「俺にも何が何だか、光が急に膨張して」

「膨張して、爆発……ま、まさか!」


 カイの目が見開いた。


「リョウバ様! 『神級』を召喚なさったのかもしれません!」


 大きな声を出して、カイは言った。


「『神級』って、ありえないだろ」

「しかし、通常の召喚ではこのようなことはあり得ません!」


 嘘としか思えない。今までなにもしてこなかった俺がそんな大層なものを、召喚できるなど。


「おいカイ、神級はどんな獣だ?」

「わかりません。ただ獣ではない、そう言われております」


 真剣な表情でカイは答えた。

 獣でなければ一体何だというのだ。さっぱりと検討がつかない。


「何だ! この煙!?」

「拙者煙いのは苦手でござる!」


 爆風の中から二つの人影が見えた。

 人影が二つ? これは本当に人なのか?

 獣ではない、神級と呼ばれるもの。


「まさか文字通り、神が現れるのか!?」


 俺はつい大きな声を出してしまった。けれどそう言われれば、神級と呼ばれる理由がわかる。神を召喚する級。だから誰も召喚できなかった。

 人影は煙の中を抜け出そうと、俺の方に向かって前進してくる。一体どんな姿をしているのだろうと俺は興味がわいてきた。

 タイミング良く煙が晴れてくる。

 こいつらはきっと俺たちとは全く違い、神々しくて、輝いているのだろう。色々と想像をしてしまう。ドキドキと期待をした。


「あー煙がやっと晴れたぜ、誰だよ爆発させた奴は!」


 煙から出てきたのは、髪の毛がツンツンと重力に逆らってとがっており、目つきが悪そうで、顔立ちは普通。そして、ところどころ汚れている。青いつなぎを着ていて、片手にはスパナを持って立っていた。


「竜巻か何かでござるか!? お宮! 無事でござるか!?」


 そういいながら、俺の手を握り締めてきたもう一人。こいつの顔立ちは中の上位。目はたれ目で、髪の毛は長いのかポニーテールのように上の方で一つに縛っている。そして緑色の着物を着て、腰には刀をさしていた。


「これが、神?」


 カイは驚いた表情をしながら言った。きっと俺も今同じような顔をしているだろう。

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