私、外で食べてくるって言ったよね?

 午前11時。その日、休日だった俺は母にこう尋ねた。

「今日の昼飯は何を作るんだ?」

「う~ん。焼うどんにする」

「焼うどんか……。じゃあ俺、外で食ってくるわ」

「ああ、そう」

「かつやに行ってきます。カツ丼食ってきます」

「おう。たまには外で食べてきな」

「じゃあ、外で食ってくるから」

「わかった」

「俺の分は作らなくていいから!」

「わかったって!」


 ――そして、一時間後。

 おなかもいい具合に減ってきて、そろそろ出かける準備をしようかというころ。階段を上ってくる母の足音が聞こえてきた。

「真弥!」

「なに?」

「昼ごはんできたで」

 ……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る