私、お餅は1個でって言ったよね!

 1月11日は、お汁粉を食べる日らしい。

 毎年、このころになると、母がお汁粉を作ってくれる。

「あんた、お餅何個食べる?」

 と母に訊かれたので、俺は「一個でいい」と答えた。

「一個? たったの一個?」

「ああ」

 今年はどういうわけか、母が缶入りの“ゆであずき”を買ってきていて、元旦からあんこをつけて餅を食べていたので、正直もう飽きていた。それに、糖分も摂り過ぎている。餅は一個で充分だった。

「あたしの分も焼いて」

 と母にお餅を三個渡された。

 一抹の不安を感じたが、母が二つ食べるのだろう。

 お餅が焼き上がったので、母に餅を二つ渡そうとすると、「あたしは一個よ」と言われた。

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