ナルト in 雑煮

 元旦。

 我が家の雑煮は、昆布と鰹節で出汁をとり、薄口醤油で味を調えたものだ。椀に

焼いたお餅を入れ、さきほどのつゆを上からかける。そして、三つ葉を添え、輪切りにしたナルトを二、三枚乗せる。例年なら渦巻き模様が入った普通のナルトなのだが、今年は少し模様が違う。まあ、ちょっとした、心境の変化なのだろう。

 もうお昼近いのに、母がまだ家にいるので俺は訊ねる。

「今年は、千葉には行かないのか?」

千葉には母の姉夫婦が住んでいて、父と一緒に新年のご挨拶に伺うのが、ここ最近の通例となっていた。

「あんた、なにバカなこと言ってんの? 喪中だよ?」

「喪中……」

「お嫁さんのお父さんが、去年死んだじゃない」

「ああ」

 そういえば、そんなことがあったような気がする。

 お嫁さんとは、母の姉の息子の嫁さんのことで、俺からすると親戚のお兄さんのお嫁さんだ。一度しか会ったことがない。そして、その父親ともなると、ナルト……。

 じゃあ、なんでナルトに“寿”って書いてあるの?

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