　それは12月21日のこと。

　母が生まれてはじめてビーフシチューを作った。

　なんでも、カレー・ルゥと間違えて買ってしまったのだとか。

　作る側が初めてなら、食べる側も初めてだ。俺はビーフシチューなるものをはじめて口にした。

　美味い。

　ルゥを作った企業の力も大きいだろうが、それを差し引いても、母の料理の腕は大したものだと感心した。好物のマッシュルームも入っていて、本当に感動したんだ。

　しかし、同時にこんな想いも抱いた。

　どうして、これをクリスマスにやらないかな。

　そして、迎えたクリスマス・イヴ。

　夕飯の献立は、ローストチキンとなめこ汁だった。

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