第4話一つ目「切り株の上」

さっきも言ったけど、僕の地元は「桜ヶ原」という名前だ。

それにしては桜の木なんて、さくら公園にあるたった一本しかない。

僕の実家にある資料によると、昔は本当に数えきれない位の数がこの地に植えられていたそうだよ。

いろんな理由でその姿を消してしまったらしいけどね。

切られたり、燃えたり、腐ってしまったり、寿命だったり。

今じゃその跡すら僅かにしか残っていない。


学校の七不思議の一つ目は、実は一番身近なものだったんだ。

一つ目ってこともあって、とりあえず誰しもが一度は聞く話。

それは。


「校内にある桜の木の切り株の上に何かを置くと、一晩で消える」


桜ヶ原は広くないので、学校は小・中・高が1個ずつ。

昔は更に子どもが少なかったんで、学校自体が1個しかなかった。それは、今小学校がある場所に建っていた。


最低でも小学校は通うよね。

地元の子どもはみんなこの小学校に通って、この話を一度は聞くんだよ。

しかも、その実際の切り株は学校の裏にしっかりとある。

切り株の上に物を置くくらい、誰だってやっているんだ。あの話って本当かな?ってね。


もちろん僕もやったよ。

次の日に行ったら、置いた物はなくなっていた。

誰かが持っていったとか、風で飛ばされたとか色々言われるんだけどね。

だから子どもたちの間でルールが自然と出来上がっていったんだ。


一定以上の大きさの物は置かない。

置く物は1個だけ。

生き物・なまものは置かない。

置いたら布を被せて、切り株に縛っておく。


僕の知っているのはこれくらい。

別に、このルールを守らなくても罰せられるってこともないよ。

ああ、ただ1個だけ。

置いて消えたものは、2度と戻らない。

絶対にね。


そ別に、このルールを守らなくても罰せられるってこともないよ。

ああ、ただ1個だけ。

置いて消えたものは、2度と戻らない。

絶対にね。


それだけ忘れないでね。

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