最高な僕ら

銀河と昴はランクが上がると共に、部屋も移る事になった。部屋は以前の数倍も広く豪華だった。基本Aランク以上の生徒の部屋は一人部屋なのだが、銀河の能力は未知数の為、テレポーターの昴が常に一緒にいた方がいいという事で二人部屋が許された。銀河は広い部屋にまだ慣れず、眠気の訪れないまま天井を見つめている。ふと横を見ると、昴がスウスウと小さな寝息を立てている。昴は部屋が替わろうと、大きくなろうと気にならないらしい。それにしてもと銀河は思う、昴に透視能力クレヤボヤンスの事をよく聞いてみると、昴は小さい頃から透視能力クレヤボヤンスでものが見えていたらしい。しかし他の人たちもこのように見えているのだと思っていたそうだ。成長してテレポート能力が発現してからは、空間認知能力によるものだと理解していたようだ。銀河は昴のこの能力について不安な部分もあった。昴が成長して思春期を迎えたら一体どうなってしまうのだろう。昴はその気になれば意中の女の子の裸だって見えてしまうのだ。そういえば昴はこんな事も言っていた。銀河がクラスの女子で誰が一番タイプかと俗っぽい質問をした時に昴は、人間なんて一皮剥けば皆同じだ、重要なのは心だ。と達観した答えが返ってきた。昴にとって人間は人体模型のように、筋肉と内臓と骨でできた物体なのかもしれない。眠れぬままに思考がつらつらと移っていく。そして銀河は昴のある行動に思いいたる。五年生のクラス替えで、青山命あおやまみことという少年と同じクラスになった。命はAランクのテレパスだ。彼はとても無口で物静かな少年で、クラスの誰とも打ち解ける事はなかった。その為命は恵太の標的になり、いじめを受けるようになった。昴はそんな命を気にかけて、テレポートで命を守っていた。体育の授業の際は、男女別れて着替えをする、その時昴は必ず命の側で着替えをするのだ、まるで他人の目から隠すように。銀河はそこで初めて一つの考えにたどり着く。命は人に見られたくない何らかの身体的特徴があるのではないか?そして、昴は透視能力クレヤボヤンスでその事を知り、命を守っているのではないか?銀河はその仮定に落ち着くと、誇らしい気持ちでいっぱいだった。俺の友達は最高だ。

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僕らの場合 城間盛平 @morihei

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