僕らの決意
昴は内向的な少年だった。常に三つ年上の姉にべったりで、自主性がまるで無かった。しかし、小学校三年生の時に転機がおとずれた。昴に超能力が発現したのだ。超能力が発現した子供は、誰であろうと、国のPSI学校に入らなければならない。昴は生まれて初めて、家族から離れて暮らす事を余儀なくされた。学生寮のルームメートはとても理知的な少年だった。昴はルームメートの銀河を見て驚いた。お姉ちゃんが好きなアイドルみたいな人だ。銀河はとても整った顔立ちをしていて、姉が熱を上げているアイドルグループの一人に似ていた。銀河は髪も瞳の色も色素が薄いらしく、銀河が陽に照らされるとキラキラしてとても綺麗に見えた。銀河は昴に気を使い、よく話しかけてくれた。しかし、昴は今まで友達というものができた事が無く、銀河とどう接していいのか分からなかった。銀河と話しがしたいのに、モゴモゴして喋れない、こんな事では銀河に呆れられてしまう、気持ちだけが焦るばかりでちっとも前に進めない。そんな昴はクラスでも孤立していた。恵太といういじめっ子に標的にされ、毎日のように
銀河はその後も恵太から昴をかばってくれた。しかし、恵太の
銀河は保健室に運ばれた。保健室の先生は、
銀河が意識を取り戻したのは、大分日が傾いた夕方頃だった。
「銀河くん、ご、ごめんなさい。ぼ、僕のせいで、怪我させて」
昴は銀河に謝らなければと思うのに、話しだしたらまた涙が溢れて話す事ができなくなってしまった。
「昴、ゆっくりでいい。落ち着いて話せ」
「ぼっ、僕、泣いてばっかで、銀河くんに迷惑ばっかりかけて、自分が嫌いになる」
「泣く事は悪い事じゃない、涙が出るのは
昴が自身の問題にしっかり向き合っているからだ」
「っ、僕強くなる。もう銀河くんに絶対怪我させない」
昴は宣言通り、超能力の訓練にのめり込んだ。放課後はテレポートの教師に頼んで、つきっきりで指導してもらった。その結果、感情の起伏で、テレポートできなくなる事は無くなった。しかし、飛距離は二メートルと短いままだった。
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