第46話 地下二十一階の戦い(後編)
シオンが唱えた『嘆きの氷結』。それは人間の魔術師が使えないとされている人外の魔法。主に
だが、目の前で起きたその現象は、アーデガルド達の常識を覆すのに十分な威力を見せつけていた。
しかも、
円柱形に展開する白銀の世界以外には、一切その影響がないように。
ただ、それはキラキラと輝くその幻想的な光景を生み出していた。誰もが一瞬見とれたその光景は、先ほどまでの戦いを忘れるのに十分なものだったに違いない。四肢をバラバラに砕かれた氷の像の中から、すさまじい熱量の炎の柱が昇り、その姿を取り戻すまでは――。
「クソ! クソ! クソ!」
瀕死の体を何とか再生した
だが、逆上した
「最後の時だ、
そう告げるシオンの『浄化の炎』を浴びた直後、苦悶の声を上げた時に
「ヒバリ――、とったよ」
「まだまだや! コイツは油断できへんで!」
次いでつながるアオイの攻撃。切り放たれて宙に舞う
「あとは任せたで! アーデ!」
文字通り煙となって宙に浮かぶ
断末魔の叫びも残せず、霧散する
最奥にいた貴族風の男の声により――。
「すばらしい! この敵討ちであなた方の喜びが一段と大きくなっている事でしょう! ああ、いいですね。いいですよ。喜び、怒り、悲しみ、そしてやってくる絶望。あれも最後に役に立ったという事ですね。ああ、そうですね。一応あれを復活させる気はありませんから、ご心配なく。あれの役目はもう終わっていますので」
部屋の最奥で優雅に観戦を決め込んでいた貴族風の男が立ち上がり、アーデガルド達の戦いを拍手でそう称えていた。
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