幕間
第24話 幕間
明かりの全くない真っ暗な一室。そこに『誰がいるのかわからない』ほどの闇がその場の主人として君臨している。
だが、おそらくそこに入った誰もが、そこに『何かがいる』と感じるに違いない。
圧倒的な気配が、その部屋には充満しているのだから。
そんな中、その気配がわずかな揺らぎを見せていた。
その瞬間、その部屋に光り輝く魔法陣が浮かび上がり、その中に跪く人物の姿が描かれていた。
「首尾は上々です、マスター。すべてマスターのご指示通りです。彼はしっかりと仕事をしております」
魔法陣の中で畏まり続けるその娘。徹頭徹尾、微塵もその姿勢を変えることなく、短くそう報告していた。ただ、彼女がそう言い終わった瞬間、彼女の周りの空気が揺らぎを見せて元に戻る。
「ありがとうございます。でも、あの異分子は放置してもよろしいのですか?」
彼女の質問に対して、闇は何も答えない。ただ、彼女には何か伝わったのだろう。さらに頭を下げ、それを理解したという姿勢を彼女は見せていた。
彼女の言葉に、明確な言葉は返されていない。だが、そこにいる者だけが感じることのできる気配だけで、彼女はそれを理解していた。
「仰せのままに――。では、引き続き彼のサポート業務を――」
緊張感が続く中、俯く彼女の顔に安堵の色が浮かび上がる。
まさに、その瞬間――。
まるで、それを承認したことを示すように、彼女の周りの魔法陣が輝きを増してはじけ飛んでいた。
彼女を飛ばした魔法陣。
全てをその瞬間に出し切ったようなその煌めき。
残った儚き光りの粒が露と消え、闇が全てを包み込む。
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