風俗で働く少女きららと偶然に知り合った“僕”は、店ではなく彼女の家へ招かれた。そこで彼女は同僚である彩香、里乃と共に暮らしながら、現在の貧困を抜け出して普通の生活を手に入れるという共通の夢を叶えるつもりなのだという。なんとか力になりたい。その思いを告げた彼に彩香が言う。「私たち三人を幸せにするお手伝いをしてくれませんか。」と。
貧困は根深い問題で、努力だけで覆せるものではあり得ません。でも、それを手伝う誰かの手が添えられたなら? そう、本作の見所は、ほんのささやかな助力を得た少女たちそれぞれが抱えた傷を克服し、自らを再生していく過程にこそあるのです。
彼女たちは“僕”と共に姦しくて穏やかな日常を送ります。そしてその中で幸せになる練習をして、ついには望んだ普通の生活へ進んでいく。そんなカタルシスをじわじわっと味わわせてくれる構成、本当に素敵なのですよねぇ。
縮こまった心になにより効く、小さくてやさしい奇蹟の物語です。
(「社会の問題、その“今”を切り取る!現代ドラマ4選」/文=高橋剛)