第23話 僕の方が

「バレていますのですよ。でも、おにいさんに見られるのはなんだか安心します。」

「安心……する?」

「うん、わたしをちゃんと見てくれてるの。」

「それはみんなそうじゃないのか。」

「そう……だといいな。」


 少しだけ曇った顔で少女は空を見上げた。

もう夜も深くなっている。

見上げきれないほど高い商業施設やオフィスビルの並ぶ街で上品な明かりと商店街に映る派手なネオンが立ち並ぶ下品な明かり。


「歪な世界。」

「そうなのです。光さんと闇さんが背中を合わせて座っているんです。」

「その二人は出会うことが……。」

「たぶんないです。だから私から会いに行くのです。」

「里乃。」

「だから、おにいさんにお願いです。」

{お願い?」

「はい。私は弱い人間です。ちょっとしたことで頑張る気持ちが消えちゃうと思います。私もあやかもきららも、そしてこの前会った早苗ちゃんもきっと。だからそんな私たちを見かけたら背中を押してくれますか?」

「ああ、もちろんさ。」

「へへへ、よかったぁ。」


表情を戻して笑う少女が隣にいた。


「いつもお世話になってばかりです、里乃は。」

「お世話になってるのはこっちだよ。女の子とあまり話したことなかった僕にとってみんなと話せるのがすごく幸せなのさ。」


申し訳ない。

俺にだって下心はあるんだ、裏切ってごめんな……。

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