第22話 あったかぽかぽか
温泉へ行ってから一か月経った。
その後の僕らと三人はというと、時々連絡を取るくらいだ。
お互い自分の生活があるから、そこまで頻繁に会うのは難しい。
秋が深まってきたある日、僕は残業があったから夜遅くに帰っていた。
「おにいさんもお帰りの時間なのですね~。」
「お、里乃も帰りか。今日は二人はいないの?」
「うん、きららも彩香も今日はお休みの日なのです。」
「そか。だから一人なのですよ。」
そのとき、里乃のお腹がぐうぅとなった。
「えへへっ。」
「まだご飯食べてないの?」
「うん、時間なかった。」
じゃあどこかで食べよう。
僕はそう提案し、近くのうどん屋へ向かった。
「前も麺類でしたね~。」
「前はパスタだったな。俺結構麺類食べてるからなー。」
「作るの楽だからなのですか~。」
「ま、そんなところさ。」
うどんを注文して出るまでの間、僕らは出会ってからのことを思い出していた。
「お待ちどうさま。」
「おーうどん!おうどん!肉うどんなのですー!」
「里乃ちゃん里乃ちゃん、はしゃいじゃだめですよ。座って食べますよー。」
「むー。里乃を赤ちゃん扱いしないでほしいのですよー!」
「はいはい。」
「ハイハイなんてしないのです!」
「違うそっちじゃない!」
いただきます。
「あったかいのです~。」
「よかった。だしもおいしいだろ?」
「だし?里乃はちょっとわからないよ……。分からないけど、おいしい!」
そんな里乃の顔を僕はずっと眺めていた。
「ところで、おにいさんはなんで里乃の顔をずっと見てるのですか?」
バレた!?
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