第21話 温泉へようこそ③

 わ、まずった!


「ごめんっ!悪気はないんだ!」

「おにいさんだったのかぁ。意外だよ、おにいさんも男の子なんだね。」


意地悪な笑みを僕に向ける彩香。


「柔らかかった?」


おい、横からわき腹をつつくなきらら。


「やわ……、じゃなくて変な質問するなよ!」

「よかったね彩香!すごく柔らかかったってよ!」


そんなことも言ってないし、誇張するのはやめてくれ。


「うぅ……。」


ほら!変な空気になってしまったじゃないか……。


「気にしないでくれ!すぐ忘れるから!」

「ほ、本当に?」

「ああ、もちろん。」


こうして何とか事なきを得た僕。

その後は大したハプニングもなく、人生最初の混浴は幕を閉じた。


上がったあとは、コーヒー牛乳。

温まった体に冷たい一本、たまらないぜ。

横で三人も気持ちよさそうに飲んでいる。


「なぁ、おにいさん。今度はいつかあたしが連れてきてやるからな。」

「わ、私も!」

「里乃も連れていきますよ~。」


ありがとう。今は気持ちだけもらっていくよ。

でも、まずは自分たちを救っておくれ。


 僕らの旅館物語はこれでひとまず終了。

また、いつも通りの日常が明日から始まる。

僕も少女達も。


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