第19話 温泉へようこそ①
さて、いよいよ温泉に入ろう。
ここの旅館はどんな温泉があるんだっけ?
「これにしよーぜ!」
きららがフロアマップに書かれてあるとある温泉を指差していた。
「おう、でれでもいいよー。って家族風呂!?」
そう、きららが指差しているのは家族風呂だったのだ。
「さすがにそれはまずくないか?」
「いいんだよ、あたしたちが入りたいって言ってんだから。おにいさんが気にする必要ないって。」
「でもな……。」
「男湯女湯だと、おにいさん一人になって寂しくなると思うのですよー。」
「いや、俺は大丈夫だから。」
二人と入る入らないの言い争いをしているうちに。
「家族風呂空いてたんで、予約してきましたよー。」
と彩香。
そういうわけで、僕らは四人で温泉に入ることとなった。
お風呂の前で着替える僕ら。
僕は三人の着替えを見ないように気をつけていたが、三人の巻く薄いタオルからシルエットが透けて見えてしまう。
そんな僕を見て、彩香が笑っていた。
「そんなに気にしなくても。おにいさんになら少しくらい見せてもいいよ?」
「簡単に見せるのはだめだよ。うう……。それに、俺は見てない、見てないからなっ!」
「おにいさん、可愛いなあ。」
「からかわないでくれ……!」
家族風呂は室内に小さいお風呂が一つ、外に大きめの露天風呂が一つという構成になっている。
まずは外の温泉にゆっくりとつかる。
「疲れが取れますですねー。」
「そうだろー。60分しかないけど、ゆっくり休んでくれ。」
「はい、お言葉に甘えて―。」
ふと里乃を見ると、まるで妹のように小さくてかわいい。
って何を考えているんだ僕は。
「おにーさん、あたしの体洗ってくれよー。」
突然のきららからのお願いに僕は。
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