第15話 きららの危機③

 数日後。

「今日もご指名いただきありがとーございまーす!」

きららの元気な声がこだまする。


 きららを指名する客は前ほどは行かないまでも戻りつつある。

驚くべきはリピート率の高さ。

きららを指名した客は、口をそろえてまたきららを指名したいという。

だが、きららが劇的に変化したかといえばそうではない。

挨拶やマナーをきっちりすること、来た客をしっかり覚えて次につなげること、それだけである。

それによって、『親しみやすい不良感』だと大好評だ。


 きららも大満足で、「最初からこうしておくべきだったぜ!」と笑っていた。


 きららに笑顔が戻ったのち、僕らは祝杯を挙げた。

といっても、三人は未成年なのでジュースだけれども。

僕はデパートで買った弁当をみんなの前に並べる。


「すげー豪華じゃん!」

「これ、食べていいんですか!」

「おー!!見たことないものがたくさん入ってるのです!」


驚きの声を上げる少女達。

こうやって喜んでくれると買ってきた甲斐があったってもんよ。

乾杯の音頭はきららがとった。


「みんなほんとにありがとー!乾杯いきましょーか!せーの!」


「「「「お疲れ様ー!」」」」


僕らは声を合わせて喜びを分かち合う。


「やったぜーーー!!!」

「きららちゃん、本当によく頑張ってたもん!」

「でしょー!めっちゃ頑張ってたでしょー!」

「うん!」

「すごいのです!きららは誰よりも頑張ってたですよ!」

「そうだろそうだろ!ありがと、里乃のアドバイスのおかげだよ。」


きららは里乃の頭をなでる。


「嬉しいのですー!」


里乃の顔が恥ずかしがるように赤くなり、やがて笑顔へと変わった。


 祝杯を挙げた後、僕らは四人でお風呂に入った。

今回は少し心の余裕があってか、僕が三人の裸を見てしまい鼻血を出してしまったのはまた別の話。

そのあとすごく笑われたのだけれど。


 今日は良い眠りにつけそうだ。




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