第16話 再開
大きな問題が解決したこともあり、僕はぐうぐう眠っていたらしい。
いたらしい、と言うのは僕が四人の中で一番最後まで眠っていたため、四人のくすくす笑う声で目が覚めてそのことを指摘されて気づいたのだ。
恥ずかしいな。
そうだ。
一段落着いたし三人とも頑張ったんだから、少女達にも何かしてあげたい。
そう思った僕は、
「温泉、行ってみないか?」
「「「へ?」」」
きょとんとする少女三人。
「まあ、立ち寄りだけどな。」
そこは許してちょ。
「いや、そーじゃなくてさ、マジでいいの?
「私たちが、おんせん……?」
「行ったことないのですよー。」
「もちろんだぜ。車出してくるから、待っててな。」
僕はいったん自宅に戻る。
実のところ、社会人になって女性とどこかへ出かけることなんてなかったから自分にとっても楽しみなのだ。
自宅の駐車場に向かい、エンジンをつけ少女たちの待つ家へと向かう。
「お待たせ―。」
「きたきたきたー!」
きららが喜びの声を上げる。
「さあ、さっさと行こうぜ!あたしは早く入りたいんだよ!」
「そう急かすなって。今から連れていくからさ。」
車の助手席にきららを乗せ、後ろに彩香と里乃を乗せる。
「温泉ってどこにあるのですか~?」
「ここから30分くらいのところだよ。」
「遠いんですね。ところで、どんな温泉なんですか?」
彩香が僕をのぞき込むかのように尋ねてくる。
「結構老舗って感じの歴史ある旅館だな。」
「要は古いってことなんだな。」
おい、きららちゃん。
せっかく僕が上手な表現をして隠したのに、ストレートに言うんじゃないよ。
「歴史があるんだよ!」
「お古なのですね~。」
里乃ちゃんまでそう言っちゃう。
しばらく話をしていると、旅館が見えてきた。
「「「おー!」」」
喜びの声を上げる三人。
車を止めて旅館へと入る。
「いらっしゃいませー。ようこそお越しくださいました。」
受付の女性が案内のために近づいてきた。
その女性を見て、きららが目を見開いて。
「お、お前、宮城だよな?」
「は、はい。そうですけど、あなたは?」
「小さい頃よく遊んでたきららだよ、覚えてないかなー?」
「あのときの……!」
「そうだよ、あの時のだよ!」
僕と彩香と里乃は蚊帳の外である。
全然何の話なのか伝わってこない。
「きらら、その子とはどういう関係?」
「ああ、紹介するよ。この子は。」
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