第14話 きららの危機②
あぁもう!どうすりゃいいのさ!
きららはどこにぶつけたらいいか分からない怒りを僕らにぶつけてくる。
「どーせあたしは下品な女ですよーっだ!」
拗ねてしまった。
今回は相手が悪い。僕らは頭を抱える。彩香のときは本人のどうこうで解決出来る問題であったが、今回はきららが頑張れども解決の難しい問題のように思える。
弱ったな。
僕は天井を見上げる。自分がきららだったら果たしてどうしただろうか。
一つ目、場所を変えて戦う。
おそらくこれは却下であろう。きららが今日まで頑張ることができているのは、彩香と里乃のおかげであろう。このやり方でもちろん事態が好転する可能性もあるのだが、未知数でリスクの高い行動だといえよう。
二つ目、相手を引きずり落とす。
これは社会の中で日常茶飯事的に行われているが、少女達にそのやり方を提案するのは僕としては憚られる。
三つ目、相手に下から出て、二番手として利益を得る。
これは……。きららには受け入れ難いだろうな…。第一印象最悪だし、あんな女性の下につきたくないだろうし、ついてほしくない。
そうなると。
どうすりゃいいんだ。
悩む僕の横に里乃が近づいてきて、僕と同じようにしゃがんだ体制を取った。
そして、やさしく言った。
「今回は私に任せてください。」
と。
里乃ちゃんに任せて大丈夫かと頭をよぎったが、里乃ちゃんがここまで言うんだ。
だから任せる。
僕は何かあった時のサポートに廻ろう。
里乃ちゃんはきららのもとに駆け寄り、優しく語りかけた。
「きらら、よく頑張りましたのです。」
「でも、私は…!悔しくて、でも全然頑張っても、違いすぎて…。ごめんね、泣きごと言って。」
「泣きごとは言っていいのですよ。これまで里乃たちがずっと言ってばかりだったから。里乃たちを頼ってほしいのです。」
こらえてきたものが溢れだしたのだろう。そう言うと、きららは里乃の胸に顔を埋めわんわんと泣き始めた。
里乃はきららの頭を撫でている。
彩香もそこに加わり、「ずっとそばにいる」と頭を撫でた。
きららは泣きながら、里乃の胸に顔を埋めそこから里乃の顔を見上げ、言った。
「どうしても勝てないときはどうしたらいい?」
「戦わなければいいのです。勝たなくていいのです。きららのとこにはほかの新人が来てもずっときららを選んでくれた人たちがいるのです。その人たちを大切にするのです。」
「そしたら、どうなるの?」
きららは尋ねる。
「きららの評判が上がってたくさん指名もらえるのですよ。」
里乃はそう言って、店の評判サイトをきららに見せた。
そのサイトには、店のメンバーのランキングが作られており、それぞれが五段階で評価をされレビューが書かれている。
「みせて。」
きららは画面をのぞき込む。
「うちらはトップ5入りしてないかー!」
きららが少し寂しげに笑った。
それでも、だいぶ元気を取り戻してきたようで僕は少しほっとした。
三人のランキングは中の上で、平均より少しいい程度だった。
「「「うちらは似たり寄ったりかー!」」」と、三人は顔を見合わせ笑いあった。
「んじゃ、頑張るか!!」
きららは客を取り戻すことを誓った。
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