第11話 彩香の悩み③
「うん。楽しみにしておくよ。」
僕は答える。
帰り道はとても早かった。外は綺麗な紅葉が咲き乱れていたが、僕たちはそれにちらりと目を向けることなど一切なかった。それゆえに行きよりもすぐに帰り着いたのだった。
「「ただいま~。」」
「「おかえり!」」
玄関で二人が待っていた。
「遅かったぞ!」
「いいのが買えましたのですか?」
「うん!買えたよ、ピンクの体重計!すごくかわいくない!?」
「ヤバい!」
「さっそく計ってみるのですよ~!」
なんてことを言っちゃうんだ里乃ちゃん。いずれは計らないといけないんだけど、いまみんないるときに言わなくてもいいよね?彩香ちゃん、すごい困った顔してるじゃん!
「だな!里乃、さっさと彩香を体重計に乗せろ~!」
お前も便乗するのかきららちゃん!
「そ、そうだね!買ったんだから乗らないとね!」
僕は止めようと思ったが、彩香は乗る決意ができたらしい。
「の、乗ります!」
彩香はそう宣言し、体重計に乗った。
結果。
「あ。」
「お、マジか…。」
「言葉のチョイスが難しいのですよ。」
三人の反応からわかるように、彩香は自分が思う以上に太っていた。二人も彩香を励ますつもりだったのだろうが、予想を超えてしまった結果にうまく言葉をかけられずにいる。アドリブがきかないなぁ。
「大丈夫だ彩香ちゃん。毎日少しずつ、目標決めて頑張っていこ。」
「うん。頑張る。」
彩香は少し元気を取り戻して言った。
「ご飯食べたら運動に行ってくるね。きららと里乃もついてきてくれる?」
「もちろんじゃん!」
「彩香偉いのです~。」
少女たちの午後の予定が決まった。
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