第9話 彩香の悩み①

 少女たちは昼になり店へと向かい、各々お客さんのために準備を始めた。


 彩香は自分のお腹を見つめていた。

 これまではいていたスカートのボタンが止まらない。

 シャツが少し苦しい。

 まって!また太っちゃった?


 困ったなぁ。

 最近彩香はぽっちゃりしてきたことでお客さんから「いい体だねー」と言われ触られることが増えた。

 しかし、「だらしない体だ」、「彩香ちゃんのぽっちゃりが良かったから来てたんだよ」などと言われることが増えた。


 痩せないといけないなあ。

 でも心当たることもない。

 二人と同じような生活をしてるし、食べる量もそんなに変わらないはずなのに。

 どうして私だけ太っちゃうんだろう。


 彩香は悩みながらも、一日頑張って働き終えた。

 その日のことだ。

 彩香は店長に呼び出された。


「いったい何なんだその体は!」

「すみません!」

「すみませんじゃない!なんでだと聞いてるんだ!」


 言われても彩香だってなぜなのか分からないのだ。


「私にもわからないんです…。」

「分からないとは何だ!」

「ごめんなさい!」


「周りを見て自分だけ太ってるとは思わんのか!」

「そ、その通りです…。」

「客からデブすぎるっって苦情が入ってんだよ!」

「申し訳ございません!」


「これ以上太ったらクビだからな!」


 そんな…。


「いいか。俺はおまえらを。」


「はい。」


 話を終え、部屋を出た。

 出たところで、二人が待っていた。


「だいじょぶ?」

「どうしたのですか?」


 二人はしょげて帰ってきた彩香に声をかける。


「う、うぅ…。うわぁぁぁぁん!」


 こらえていた涙があふれ出て。

 彩香は泣き始めた。


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