第8話 会いたい
彩香達三人は「おにいさん」と最初に会った風俗店の前にたどり着いた。
「ほんとにいんの?」
「わからないのです。でもここしか心当たりないのですよ。」
だから待つしかない。と彩香は言った。
一方のおにいさん側。
僕は風俗を誤解していた。
体を売りたいろくでもない女が集まる場所だ、なんて思ってた。
大学の学費を払うため、生きていくため、将来の夢をかなえるため。
三人に会って、調べてみて、知った。
だから会いに行って、もう一度話をするんだ。
僕はきららと最初に会った公園へと向かった。
走ること20分。
公園に少女らの姿はなかった。
そんな簡単にいるはずもないよな、と心の中で思う。
もしもほかにいるとするなら。
あそこだ。
少女たちはだんだん寒くなっていく秋の夜の中寒さに耐えつつ待っている。
「来ないじゃん!」
「もう少し待つのですよ。」
「もうめっちゃ待ったし!」
「ですね…。」
「明日来てみようか。」
彩香は二人に行った。
このままここにずっといたら、寒くて風邪をひいてしまいそうだからだ。
「「そうだね。」」
二人も同調し、家に帰り始めた。
そのとき向かいから見たことのある人影が。
「おにいさん?」
彩香は声をかけた。
「彩香?」
声の主は答えた。
「おにいさんだ!」
そう、声の主はあの「おにいさん」だったのだ。
「よかったじゃん!」
「待った甲斐があったのですよ~。」
「おにいさん、今から来てくれるよね?」
ああ。そのつもりだったのだ。
僕らは少女たちの家に向かった。
家に着くと、少女たちは風呂場へと向かう。
「なにするの?」
俺が問うと、
「今から風呂入るんだけど、別々入ると金かかるからさ、うちらと入らん?」
「え?」
「わたしはいいのですよ~。」
「ほ、ほんとなの?」
彩香は顔を赤らめ、困った顔をする。
「嫌?でもいろいろ仕事では近いことやってんじゃん?」
「そ、そうだけど…!違うの!あれはお仕事だし!」
「そか。」
「それと、最近体がね…。」
きららは察した。
太った体を見せたくないことを。
だから、おにいさんに耳打ちする。
彩香の体のこと馬鹿にすんなよ、と。
仕切り直し、きららは彩香に言う。
「彩香のボディすっごく魅力的なんだよ。」
彩香は笑顔が戻り、四人で入ることに納得した。
お風呂に入る。
僕は極力少女たちの体を見ないようにしているけれど、どうしても見えてしまう。
金髪のきららの女性らしいスタイル。
彩香のぽっちゃりとした可愛らしいスタイル。
里乃の小学生のような抱きしめたくなるスタイル。
三人とも、魅力的でかわいかった。
お風呂から上がると、前回同様スパゲッティを食べ、歯を磨いて寝る。
布団は里乃が二人の方に入る形で僕の分を空けてくれた。
「いいの?」
「使っていいのですよ~。」
里乃は微笑んだ。
里乃の厚意に感謝し、今日も僕はすぐに深い眠りへと落ちた。
目が覚めた。三人の今日の仕事は昼かららしい。
だから今日はゆっくりしているのか。
僕の仕事はプログラミングであることと会社が緩いので、始める時間は比較的自由だ。
帰って仕事片付けてくると僕は言い、家を後にする。
三人は夜またここで会いましょうねと言った。
まさか、あんなことが起ころうとは、そのときは知る由もなかった。
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