第3話
「誰か助けてえええええええええええええええええええええ」
俺が全力で助けを呼んだ。
黒い犬は俺に向かって牙を向けてくる。
ああ、これはもうダメだ。
そう思った。
しかし、助けを呼んだことが幸運だった。
ザン
バシャーン
目の前で黒い犬がいきなり真っ二つになり爆発音が発生した。
「うぉお」
爆発により発生した爆風に俺は巻き込まれ少し飛ばされる。
ドテドテ
バッシャーン
飛ばされて体のあちこちをぶつける。
「イテテ」
体中が痛い。
しかし、一体何があったのだろうか。
俺は、転がり込んでいたので起き上がる。起き上がると周りの様子を確認する。
「一体、何が?」
俺は、爆発が起こった場所を見る。
そこには先ほどまで俺を襲おうとしていた黒い犬が真っ黒に焦げて、そして2つに胴体が分かれていた。
「うぇ」
その様子を見て吐き気がする。
いや、
「うぉぉぉ。おろおろぉ」
吐いた。
気持ち悪い光景だったので。そして、俺自身もかなり気持ち悪い状況になっているのだろう。
「ヤダね。こいつ吐いているわ」
「だっさぁ。あんた男だろ? これぐらいの光景見ただけで吐くなんて」
誰かが声をかけてきた。
2人だ。女性の声だ。
「だ、誰だ?」
「うん? 私達?」
「私は、カナ。王都で冒険者をしている者よ」
「私は、レイナ。同じく冒険者よ」
カナとレイナと名乗る2人の女性冒険者が声をかけてきた。
カナと名乗った女は、胸が大きくしかもそれを強調するかのようなボディラインがくっきりする服装をしていた。しかも、おなかを出しているのでかなりエロい。いや、色気がある。髪型は金髪のロングだ。
レイナと名乗った女は、胸はカナと比べると小さい。ただ、全く小さいという訳ではなくCぐらいはあるだろうか。ちなみにカナは俺的にはFはあると見ている。服装は、動きやすそうだ。短いパンツにジャケットだ。髪型は茶髪のショートだ。
どちらも美人だ。
年齢は、17、8ぐらいだろうか。
「あ、あの。俺は田中暢幸だ。助けてくれてありがとう」
「タナカノブユキ? 変な名前ね」
「タナカって名前なの?」
「あー。そっか。名前は、暢幸だ。田中は名字」
どうやらここは名字と名前が逆のようだ。
そして、あのもう倒されてしまった大きい黒い犬の存在と2人の冒険者を名乗る人物、いきなり森にいたことを考えるとどうやら俺は異世界召喚でもされたのか。いや、召喚だったら誰か近くに読んだ人物がいるから異世界転移だろうか。
ああ、向こうの世界でネット小説を大量に読んでいてよかった。ネット小説だけでなく真面目な本もよく読んだ。(ほんとうがマンガでわかる〇〇みたいなやつだったが……)その中で読んだ世界の景色にはこんな場所はなかった。だから、ここは異世界だろう。バカな俺でもわかる。
「へえ、ノブユキって言うんだ」
「よろしく。それにしてもどうしてこのクランの森にいたの? ここはかなり上級のモンスターが出てくる危険な場所だよ」
「……どうしていたの、か。俺もよくわからない。気が付いたら、ここにいた」
俺は、ここまでの経緯を簡単に語る。と、言ってもバーというお店にいて眠ってしまって気が付いたら森の中にいた。
そうとしか説明のしようがなかった。
だって、俺自身もどうしてこうなったのかよくわかっていなかったのだから。そして、俺にわからないことはこの2人にも分からないようだ。
「私達にもよくわからないわ」
「王都に行けばもしかしたらわかるかもしれないよ」
「……王都か」
「来る?」
王都に行けばヒントがあるかもしれない。そうならば、今の俺に出来ることは王都に行くことだけだろう。それに俺1人だとこの森を出ることすらできそうにないしな。
「お願いする」
「わかったわ。じゃあ、行きましょう」
俺は、カナとレイナの2人について王都へ向かうことになった。
Fラン大学出身の俺が異世界で賢者になるまで 騎士星水波 @mizunami-1
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。Fラン大学出身の俺が異世界で賢者になるまでの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます