帰り道
6限の授業は隣のクラスとの合同授業だったので、田端や取り巻き達がいた理由に合点がいった。授業中に田端はずっと呆けていた。授業が終わりだらけていると、友人が近づいて来て田端のことを聞いてきた。
「洋介~、お前、田端の告白断ったんだろ?さすがだよ。他の奴なら即OKだって言うのにな。」
「まぁな。俺は好かん。特に性格が悪すぎる。」
「確かに、あいつ態度悪いよな~。顔は良いんだけどなぁ~。ああいう性格だから意外と男からも女からも人気低いんだぜ、あいつ。」
「だろうな。あんなと付き合って喜ぶ奴いないだろ。」
「そういや、取り巻き達が、洋介は2年生の女子に惚れてるって騒いでたけど、あれって何のことだ?」
洋介はその話を聞いて、真理と一緒に帰る約束をしていたことを思い出した。
「Niceだ!教えてくれてありがとう。変その話は真っ赤な嘘だよ。」
「なんだそうなのか。学校一のイケメンが惚れる奴って、どんな子なのか気になったんだけど。ま、そんな子いねーか。」
「ごめん、俺、用事あるから、もう行くな!じゃあな!」
「はいはい~、おつかれ~。」
そう言って教室を飛び出した洋介は、急いで待ち合わせの
「フフッ、お昼のお返しだよ!それに、女の子を待たせるとは何事だぁ!」
「あぁ、ごめん!ちょっと帰り支度に手間取ってさ。ところで、頬に当てられてるこれは、何?」
「無糖コーヒーだよ。洋君お昼はいつもこれだもんね!」
身長差があるせいで真理が洋介の頬に手を当てるためには、洋介にかなり密着する体勢になってしまう。必然と見上げてくる真理の視線に洋介の鼓動が速くなる。真理の大きな口が目の前にあって、少しでも洋介が顔を動かせば……。洋介はそれはいけないと思い、急いで体を離す。その姿を見た真理は、なぜか寂しそうに俯いていた。
「真理?どうかしたの?」
「私ね、気づいてたよ。最近、洋君よそよそしくてさ、だから、なんでかなって考えてたけど、そんなの分かりきったことだよね。私がこんな顔だから、一緒にいるの、嫌だよね。」
「ちっ違う、嫌じゃないよ!俺がよそよそしかったのは……。」
洋介の口から次の言葉は出てこなかった。言ってしまいたいことは、心の中では分かっている。しかし、そのことを口にした瞬間に真理との関係が終わってしまいそうで、怖くて口に出せない。
「大丈夫だよ!もうそれ以上言わなくても分かるから。今日、田端さんに告白されたって聞いたよ。洋君と初めて会ったあの日も、いつも独りぼっちでいる私に、いきなり田端さんが『やれ』って声をかけてきたからおかしいと思ったんだ。洋君と田端さんは知り合いで、私で遊んでたんでしょ?」
そう言うと彼女は顔を俯かせて、何処かに行こうとしてしまう。
「違うよ、真理!俺とあいつは別に知り合いじゃない。それに、告白も断ったんだ!」
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