第216話 完成!?長距離砲
大阪城の北側では上杉軍がトーチカに苦戦して進む事が出来ずにいた。南側で大きな爆発音がし、その後暫く攻撃が止まったが再び銃撃が始まった。
「兼続、何が起きたのだ?」
「今、物見を走らせております。何にせよあの銃床を何とかせねば先には進めません。あれがトーチカというものなのでしょうか?」
「そうであろう。龍の砲撃にも耐えたという。我々が攻めている北側は敵防御が薄い。それでこれでは南の本隊は進む事が出来ていないのではないか?」
景勝はここに留まることも敵戦力の分散になるため、防御を強化し物見の報告を待つ事にした。物見が帰ってきて聞いた報告は耳を疑うものだった。すでに敵防御施設は全壊、本体の一部は内堀まで進んでいるというのだ。ただ、どうやら不可抗力で敵防御施設を破壊できたらしい。佐々成政、織田信忠はこの攻撃で命を落としたようだ。
「兼続。上杉が遅れをとっているようだ。何か知恵はないか」
「ゆっくりとはしていられない状況のようですな。しかし佐々様、信忠様がお亡くなりになるとは。それではやってみます。上手くいくといいのですが」
上杉軍の進軍を邪魔しているトーチカは合計4台。南と北では通路が違うようで例に爆発の影響はないみたいだ。つまり北側の地下通路はまだ生きているという事だ。
兼続は大阪城突入に使った豪傑極超矢を準備した。なんとかボーガンにセットしトーチカを狙った。矢は全部で6発しかない。狙いを外すと回収するのは難しそうだ。一撃で壊せるとも限らない、つまり当てるしかない。
一発目、一番近いトーチカを狙い矢を放った。矢はトーチカを貫き無力化した。続けて矢を用意して次のトーチカを狙おうとした時、射主が機銃の餌食となった。矢を放つには直線状の視界が開けないとならない、それはつまり相手からも狙えるという事になる。兼続は囮作戦にでた。ボーガンをトーチカの正面に置き、盾部隊を横にスライドさせた。トーチカの射主は来たか、とここぞとばかり狙って銃撃したが違う方向から矢が飛んできてトーチカを直撃した。敵の射主は地下を通って逃げ出し他のトーチカに走った。上杉の囮作戦を伝えるために。
上杉軍は敵のトーチカが2つに減ったので部隊を通過させる事が出来るようになった。兼続は豪傑極超矢を囮に見せながら兵を少しづつ進めた。鉄の盾を展開しトーチカからの攻撃を防ぎつつ全軍が内堀まで到達した。
大阪城では右近が6階に新兵器を運びつつ秀吉を探していた。
「殿下、殿下は何処に?」
6階には沙沙貴彩がいた。
「先程まで4階にいましたよ。機銃担当の兵に檄を飛ばしておられました」
「出来たのだ長距離砲が。ここから武田の本陣を狙うのだ」
「右近殿。それはわかりますがすでに内堀まで敵の兵が来ております。そちらの対応の方が優先なのでは?」
「お主の言う通りだが、わしは殿下の命令で長距離砲を作っておったのだ。ここに設置し本陣を狙うのがわしの使命だ。2階から5階に武器をあるだけ運んでおる。内堀の奴らは城からの攻撃で殲滅してくれるわ。上から狙う方が圧倒的に有利なのだよ。ここまではいいようにやられたがこれからが本当の戦いだ。わしは負けん、武田の技術者などに」
右近は自分の言葉に酔っているみたいだ。よっぽど長距離砲完成が嬉しいのだろう。さて、その実力の程は?
その武田本陣は大阪城から2kmのところにあった。ここにいるのは信勝とその旗本だ。本陣の印とも言える風林火山の旗が立っている。望遠鏡で見ると伝令らしき兵が動いているのがわかる。右近が用意できた弾は2発、長距離砲は砲台をがっちり固定が必要だ。準備が手間取っている間に内堀付近では戦闘が激しくなっていた。武田軍は堀からモーターボート
右近は準備を急ぎながら攻防の様子を見て、このままいけば城には侵入できない、これで本陣を撃てば勝てると確信した。その時城の攻防に動きがあった。防備が薄い北側から上杉軍が、西から本多忠勝軍が城へ侵入したのだ。そして南側では、お幸の乗る重厚装備伝説龍王Z《フルアーマーゼータゴーリー》 が最前に立ち城を見上げていた。
城からの攻撃がお幸に集中する。マシンガン、手榴弾、矢、全て当たるが重圧な装甲が弾き返す。城の兵は、
「あれだけ当たっても効いてないぞ、まだ動く」
「あれが武田の龍なのか。恐るべし」
指揮官の檄が飛ぶ。
「貴様ら、手を休めるな。武田の龍とて不死身ではない。攻撃を続ければいつかは倒れる。撃てー!」
暫く攻撃が続いたがお幸は、敵の攻撃が一段落したタイミングでボタンを押した。ガガガと音がして装甲板が落下した。装甲板の下から現れたのは無数の砲台と銃身だった。
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