第215話 爆発の影響

 地下で起きた大爆発。少し時を遡る。佐々成政は、ゼータ戊装備が気に入り自分でも操縦を始めた。簡単そうなのでやってみたら何のことはない、ハンドルをまっすぐ持ってペダルを踏むだけで物凄い勢いで振動とともに穴があいて行く。あまりによく掘れるので成政は調子にのった。


「このまま大阪城の真下まで進んでくれるわ。ワッハッハ。ほれ、ここ掘れサッサ、ここ掘れサッサ♩」


 ご機嫌モードで突き進むゼータ戊装備だった。成政は緊張感がゆるんでいた、その時突然壁を突き抜けた。そこは豊臣の武器庫、火薬庫だった。トーチカや曲輪に地下通路で繋がっていて、補給の役割も兼ねている。佐々成政は調子に乗っていて判断が遅れた。そしてそのまま操縦するゼータ戊装備ごと大量の火薬に突っ込んだ。


『どっかーーーーん』 『バーーン』『ズドーーン』と様々な爆発音が続き地面が揺れた。そして大量の火薬による爆発のエネルギーは周囲に広がった。そう、地下通路を通って。


 トーチカが吹っ飛び、曲輪も爆発した。大阪城の周囲を守っていた防御設備は一瞬で破壊された。そしてその影響は武田軍にも及んだ。佐々成政が掘った穴からもバックファイアが吹き出して、佐々成政軍の殆どが、そして地上にいた織田信忠もこの世を去った。幸い信豊が掘っている穴はまだ繋がっていなかったので無事だった。佐々成政、死ぬ事は恐れないが無駄死にはしたくないと言っていたが、結果は凄いことに!


 桃は慌てて信忠の元に走ったがあたり一面焼け野原になっていて手の出しようがなかった。信忠の最期の願いが頭に浮かぶ。『沙沙貴彩を救ってやってくれ』


 彩はその時大阪城6階にいて爆発を上から見ていた。悲しそうな目をして。




 物凄い地響きの後、豊臣からの攻撃が止んだ。幸村は何が起きたのか調べるよう物見を出した。油断はできない。敵のゴーリー?も動揺しているのか動きを止めている。お幸のゴーリーはその間に戦闘体勢を整えたようだ、さすがだ。爆発に驚いたのか、後ろから源三郎信幸がやってきた。


「今の爆発はもしや?」


「兄上。おそらくは地下に弾薬庫がありそれが何かで爆発したものと思われます。余りにも尽きぬ銃弾の理由は補給路が確保されていたのでしょう。その補給路を伝わって爆発が広がりこのような事になったとしか考えられません」


「わしも同意見だ。だが、なぜ爆発したのだ?」


 それは幸村にもわからなかった。源三郎はこれを機に一気に城を攻める事を提案してきた。幸村は了承し源三郎は信平に報告をしに戻った。




 豊臣のゴーリー、猿一番に乗るのは石田三成と風魔のコンビだった。前回武田に倒された猿一番はまだ出撃する予定ではなかったのだが、曲輪が破壊され姿が露出したため仕方なく出撃し呆気なく倒された。今度は準備万端だ。それはともかく三成は呆然としていた。頭のいい三成は起きた現象から何が起きたのかは理解した。地下の火薬庫が爆発したのだ、それは間違いない。城の方を見ると途中の防御施設は全て崩壊していた。残りは城の武器と兵だけだ。この猿一番だけで敵が抑えられるのかと思い正面を見ると見たこともない敵の龍が立っていた。


 三成は今までも武田の龍と対峙し倒してきた。多くの犠牲とともに。秀吉からは龍殺しを名乗るようにも言われている。だが目の前の龍は今までのとは違う、見た瞬間にヤバイと感じ砲撃ボタンを押していた。両肩の砲台から弾が射出され、敵の龍を直撃した。やったか!とお決まりのセリフを吐いたが敵の龍の装甲板が凹んだだけだった。三成は操縦係の風魔に龍に近づくよう命じ、砲撃しながら刀を構えた。この猿一番は操縦係と攻撃係の2人乗りで三成が攻撃係を務めている。その時、龍から何かが飛んできた。


「化学忍法 雷出印ライデイン


 お幸の掛け声とともに閃光弾が猿一番の前で発光した。一瞬で目をやられた三成と風魔は動きが鈍った。そこに重厚装備伝説龍王Z《フルアーマーゼータゴーリー 》の金属バット攻撃が襲った。このゴーリーは2本の巨大金属バットを背中に背負っている。これは勝頼考案の対ゴーリー戦を想定した武器だった。ビームライフルやビームサーベルは作れそうもない(そりゃそうだ)。豊臣は絶対にゴーリーを真似したなんか作ってくるはずと信じて、結局叩いて壊すのが一番早いと金属バットになった。銃弾は効かないし砲弾は重いし撃ったら終わりだしね。お幸は猿一番をボコボコに殴り続けた。金属バットが用を足さなくなった頃、猿一番は動かなくなった。お幸はマジックアームを使って気絶している中の人間を操縦席から引き摺り出した。そして操縦者を兵に引き渡し再び電動台車デダイに乗って周りの兵と一緒に城へ向かって進み始めた。


「こ、ここは?」


 三成は気がついた。横を見ると風魔が縛られており自分も身動きが取れなかった。


「おお、気が付かれましたな。石田殿」


 目の前に武田信平がいた。

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