第42話 箕輪城攻略
突然城門から兵が出てこなくなった。玉井は反転し追撃しようとしたが勝頼が止めた。
「待て、様子がおかしい。」
2分程の間のあと、城内から矢が飛んできたと同時に、敵は鉄砲避けの藁襖を持った足軽を前面に物凄い勢いで飛び出してきた。足軽の後ろから騎馬隊も出て、勝頼鉄砲隊を蹂躙しようとした。
勝頼軍は鉄砲を撃った後、鉄砲隊を下がらせ体制を立て直した玉井隊がむかえ討った。
マキビシの効果で敵の勢いが抑えられた効果が大きく、不意打ちによる犠牲は無かったがとにかく数の暴力で押し出してきた。
「うーむ、敵味方が入り乱れるとただの力戦にしかならないな。」
勝頼は今後の戦のためにどんな新兵器を作るか模索していた。ようは余裕ぶっこいてた。
中央は混戦模様、敵の騎馬隊が左右を迂回して勝頼本陣に迫ったが楓以下伊那忍軍の普通のボーガン(この時代では初)による鉄の矢を馬が受け、転倒したところを旗本に斬られ勝頼には近づけなかった。のだが、いかんせん敵の数が多すぎた。
「殿、切りがありませぬ。お味方も疲れてきております。まだ持ちこたえてはおりますが、このままでは。」
お幸が余裕こいてる勝頼に進言してきた。勝頼は我に返り、戦場を見て考え始めた。
この時、勝頼を囲む旗本は300人程で、中央に玉井隊400人、左右に100人の布陣で防戦していた。無傷なのは旗本300人。
そして、長野業成自らが旗本300人に囲まれ出陣してきた。
城の側面攻略の応援に出向いていた諏訪、伊那勢は寄せの本隊とともにようやく城へ侵入したが、小原兄弟は異常に気付いた。
「これはおかしい、敵が少なすぎる。と、殿が危ない!」
慌てて外を見ると敵が勝頼本陣に向かって突っ込んで行くところだった。城は本隊に任せ急いで戻ろうとしたが、敵も予想していたのか、背後から矢を打ってきたので応戦しながらの後退となった。
「殿、ご無事で」
間に合ってくれ、諏訪大明神に祈りつつ戻っていった。
勝頼は混戦では手榴弾は使えないしなあ、とのんきに考えていたら長野業盛隊が玉井隊中央を一目散に駆け抜け本陣に迫ってきた。周りの旗本が守りつつ数は減らしながらの中央一点突破。
「スゲエー、カッコいいって見とれてる場合じゃ無かったわ。高さん!あれを」
高城以下15名の旗本、そう勝頼親衛隊jrから出世した側近が5名1組になり、長さ10m程の剣を持ち横3列の陣形を取り、長野隊を迎え撃った。そう、助さんに作らせていた超ロングソードである。重さは100kg、一人では持てないため使えるところは限られるが、ボーガンの矢として発射できる様にもしてあるのでムダにはならない ………はずである。
長野業盛は、停まるよう指示したが中央突破の勢いがありそのまま高城に突っ込んでいった。
「今だ。行け、秘技 龍神の舞」
勝頼の掛け声で人を中心に剣が回転を始めた。絵面でいうと、ジャイアントスイングの様に剣が回り、周囲の敵を切り刻んでいった。人も馬も関係なく勢いに負け、斬られ飛ばされていった。
いち早く止まる事のできた長野業盛は、味方の旗本が瞬く間に減って行くのを見た。
勝頼の周りにはこちらに向けている鉄砲、弓矢の数約100。その間にも敵の回転する剣はとまらず、近づく事も出来ない。
城へ転進しようとしたが、そこは玉井隊と長野勢の戦闘区域。溜息をついたあと、
「全軍、止まれー!!!」
長野業盛の一声で戦闘が止まった。ただ高城達は急に止まれず回っていたが。
長野業盛は馬から降り、勝頼に向かい叫んだ。
「降伏致す。我は投降する故、我が兵には生き延びられる様取り計らっていただきたい。」
『これまでか。伊勢守よ、お主の言う通り勝頼は手強かったぞ。』
業盛は天を仰いだ。
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