1ー5
そんな今までより、緩い日常を送っていたある日、その日常が一気に崩れ去ってしまう様な出来事が起こってしまうなんて、思わなかった。
その日は、陛下からの勅令が下った。・・・初めての前線部隊への配属命令だった。それから、クダン隊長もセンさんも、それからその他の人たちもピリピリとした空気を醸し出していた。
毎食の度に、誘いに来てくれていたセンさんとは、会うことも少なくなってしまった。クダン隊長も作戦会議などで会うことも、会ったとしても今までの様に、柔らかく笑ってくれなくなってしまった。
ーーー
僕自身も、戦闘訓練を重ねて、ゆっくり出来ない日々を送り、そして、前線へと出発する日になった。
城下町では、出発式が行われた。それは、戦いの勝利を祈るものであった。・・・僕らの無事を願ってくれるような声は聞こえることなく、少し残念な気持ちが広がった。盛大な見送りをされ、なんとなくではあるが、戻ってきたいな、と思った。
・・・それと同時に不安を感じ、クダン隊長やセンさんへ視線を向けるものの、誇らしげな表情をした二人と視線が交わることはなく、暗い何かが、心にかかったのが分かった。
戦場は、隣国のフーア国との国境であった。
フーア国は、豊かな土地が広がり、農業で発展し、貿易で様々な国と繋がりを強く持っていた国であった。陛下は、そこに目をつけたらしかった。
あの征服心の高い陛下が、それを見逃すわけもなく、合わせてフーア国は、ウタ国の友好国としても有名であり、我らがシン国は、ウタ国と対立しているのである。
ーーー
出発式が終わり、僕らクダン部隊は、前線部隊としてこの戦場へ行くことになったが、僕は魔力値が異常に高い上、移動魔法が得意な法でもある為、前線兼移動部隊として活動することになった。
小さな飛行船を何名かで動かしつつ、僕は、この飛行船を覆う様な形で、結界の様な防御壁を作り出した。
一時すると、田園だろうか、森ではない緑が下に広がっていた。何かあたたかいものを感じる為、大切に育てられたらしい何かが下にあるのが分かると、少し胸元がキュッと苦しく感じる。それが何か分からなかったが、陛下の「我が国、そして我に幸いを。」と出発式でいただいた言葉が頭に響いた
それから、キュッとした痛みは引いた、気がした。
ーーー
『ダダダダッ・・・』
地面の色が緑から、茶色に変わった瞬間、何かが連続で落とされているような、破壊されている様な音が響いた。それに強い魔力を感知し、警戒から部隊全体を覆う様に防御壁を作った。それを作り出した瞬間、真上から強い魔力の塊が落ちてくるのを感じた。更に、防御壁を強くした。
しかし、魔力の塊は、強く、鋭さを持っていて、赤い光を放っては、僕の作った防御壁をパキリと一度、音を立てた後、ビキビキと更に大きな音を鳴らしながら、突き破ったのが見えた。
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